J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2005年05月31日(火)    11. 一夜の夢

J (3.秘密の恋愛)

11. 一夜の夢 (1)


私はレイの肩を抱き、毅然として歩き始める。
レイは視線を斜め下に落として、
肩に掛かった私の腕に押されるように歩く。

夜間照明の落ちた暗やむ公園から、
ゆっくりと裏通りへと、
無言で歩くふたりでした。

裏通りは夜のホテル街へと続いていました。
ここ隣町の繁華街はその種のホテルが多いことでも、
ちょっと知られていた街でした。
そういうことを裏付けて考えると、
私ははなからこうなることを予測していたのかもしれません。

レイと話すために私がこの繁華街を選んだこと。(参照こちら
ホテル街へ続く裏通りのある公園にレイを誘ったこと。(参照こちら
それらは私の知らぬ私自身の下心がそうさせたのかも知れません。

言葉巧みにレイを信じさせて。
よくあるように最後に抱いて別れよう、
そんな腐れ男の下心?・・・が私にあったのか?

いや、そんなはずはない。
私は信念に賭けて、
そうした下心は持っていなかった。
考えてもいなかった。

結果的にこうなったのは、
すべては自然な流れでした。

誰がどう私をさげずもうと。

そんはずはなかったのです。。

・・

歩く二人は無言でした。
レイは何かを考えているようでもあり、
何も考えていないようでもありました。

私はと言えば、
何も考えていませんでした。
ただの男でしかありませんでした。

征服欲に基づく、
ただの男、、。


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