J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年01月05日(月)    あの時、私、うぶでした、、、。

J (3.秘密の恋愛)

3. 想い出の夜 (17)


「何を、どう、覚えているんですか?、、、あの夜のこと。、、、悪かった、って?」
レイは念を押すように再度聞きました。

私はジントニックをコクリとまた飲んで話し始める。
辛うじて思い出しながら話すような口調で。

「あの夜、寿司秀で飲んだ夜、僕はそうとう酔っていた。」
「そう、、、。工藤さん、酔っていたわ、記憶がなくなるほどに。」(参照こちら
「うん、、、。だから、すまなかった。」

私は肝心なことをボヤ化して詫びを入れる。
はっきりと言わなくてもレイは分かるだろう、そういうつもりで。

しかし、レイは納得いかない様子でした。
それはそうでしょう、これでは記憶がなくなるほどに飲んだことを、
私が覚えていてそれを詫びているようにも取れます。

レイは再び聞きます。
「帰りにタクシーに乗ったこと、覚えているんですよね、さっき、そう言ったもん。」レイ。
「ああ、覚えている、だから詫びている、」淡々として私。
「じゃぁ、あのことも。」
「うん、申し訳ない、」
「でも、翌日、記憶がないって?」
「そう、それもすまなかった、」

そうなんだ、、、とレイは独り言のように呟く。
私はタバコを咥える。

ちょっとの間。

「私、ずっとそのこと気にしていた、」
「すまなかった、」
「ううん、違うんです、工藤さん、」

違う?

私はレイの言う意味がよく分かりませんでした。
「違うって?」

「あの時、私、うぶでした、、、。」とレイ。

「うぶ、、、?」訝しげに私。


「私、涙など溜めてしまって、、、。」(参照こちら


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