J (1.新入社員)
4. 花火の夜 (7)
私は友美さんと付き合うにつけ、 友美さんに対する愛しさが募っていくのでした。
いつでも、にこにことしていて、人の悪い口は絶対にせず、 デートと言えば必ず手作りのお弁当を持ってきて、 甲斐甲斐しく私の世話を焼こうとする態度に、私は心を奪われていくのでした。
6月のある日、友美さんの誕生日に、 私はロシア料理店に彼女を招待しました。
そこの店主に私はチップを渡し、 楽団に歌のプレゼントをしてもらうように依頼しました。
ロシア民謡の音楽のあとに、 楽団は私たちのテーブルにやってきました。
そして、 店主が花束をもって現れ、友美さんに渡し、 「今日、お誕生日の彼女に祝福を!」 とレストラン中に聞こえるように声を掛けました。
店中から暖かい拍手と笑顔が友美さんに送られました。
友美さんはびっくりして、小さくなって、 「ありがとうございます、」と小声で言って頭を下げました。
そこで楽団がロシアの楽器を奏でます。 HAPPY BIRTHDAY TO YOU〜♪
友美さんは感動して泣きながら私に言います。
「ありがとう、純一さん、ありがとう、、、」
「な〜に、泣いてんだよ〜、、へへ、嬉しかった?、」
「うん、、、」
私はなんだかめちゃめちゃに友美さんを愛しく思って、 ついに、こんなことを言ってしまったのです。
「もう泣くな、来年も、再来年も、10年後も、ず〜っと、 ず〜っと、オレが祝ってやるから、な、だから、もう泣くな、」
「うん、ありがとう、」
(つまり、結婚しよう、ってことだな、これは、、、)
私は、つまり、そういうことを言ったのでした。
「つまり、だ、結婚しよう、な、だってさ、 君が他の人と結婚したら、こんなふうに祝ってやれないもんな、」
「はい、、、」
友美さんは、また涙を浮かべて、嬉しそうに頷きました。
こうして私はプロポーズをしたのです、友美さんに。
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