ハロウィーン通信

[ ヤマネコ島で ]  2013年10月28日(月)


ナンシイ・ブラケットは、その間ひとりはなれてすわり、
じっと考えこんでいた。
ロジャがコーヒー茶碗をはこんでくれれば受けとり、
ティティが袋をさしだせば、そこからあつ切りの
糖みつをとったが、ちょっとの間、そうしたものが
目にもはいらないようだった。

やっとナンシイが口をきった。
「ほんとうは、ジョリ・ロジャ、つまり海賊旗と、
死と栄光と、八銀貨(ピース・オブ・エイト)十万枚のために
乾杯するのよ。でも、あなたたちは海賊じゃないから、
みんながそのために乾杯するってわけにはいかないわね。
これは、わたしたちの敵をのろって乾杯すべきだわ。
わたしたちの敵……」
「オウムをかってる海賊ね。」と、ティティがいった。


―――『ツバメ号とアマゾン号』より(アーサー・ランサム著/岩波書店)



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