[ 『だれも猫には気づかない』 ] 2005年10月22日(土)
ハロウィーンシーズンにおすすめの一冊は、
アン・マキリップの異世界ファンタジー。(シィアル推薦)
タイトルどおり、猫が大活躍します。
しかも、黒煙色の美猫。ニフィ・キャット。
どうやら人語を解し、自分の役割−亡き主人のマンガン摂政から預かった使命、
つまりエスファニア公国の若きジェイマス大公を守ること−
を心得ているようです。
そう、まるでマンガンが乗り移ったかのように。
そして、聡明な彼女が戦う相手は、悪に長けた魔女姉妹。
なんのためらいもなく、邪魔者を消す魔女の片割れは
隣国の王妃となって、エスファニアをも狙ってきます。
王になったジェイマスと、隣国の貴族の娘とのロマンスあり
(3人の娘のうち、彼が選んだのは誰か?読んでのお楽しみ)、
毒薬の陰謀あり、怪物狩りありで、一冊とはいえ短い物語は
飽きさせない展開です。
そんななかで、猫らしい魅力もたっぷりふりまいてくれる
われらがニフィ・キャット。
作品の中でも、「猫にわかるわけないわ」
なんておっしゃるのは、猫ぎらいの人です。
猫好きは、猫のすることを信じ、見守ります。
そう、だからこそ猫は、使命を果たせるのです。
大切な人の命を守るという、犬も怖じける危険な使命を。
チャイコ・キャットは気づいてる。ハイ急いでチーズ!
(マーズ)
『だれも猫には気づかない』著者:アン・マキャフリー / 訳:赤尾秀子 / 出版社:創元推理文庫2003
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