ハロウィーン通信

[ ガイ・フォークス・ナイトの本 ]  2001年11月06日(火)

■「わが目の悪魔」
  著者:ルース・レンデル / 出版社:角川文庫

11月5日は「ガイ・フォークス・デイ」。
中学生の時にクリスティーのミステリの中で
初めてこの英国の子供のお祭りを知ったとき、
四百年前の実在の犯罪者の人形を作って燃やすなんて
とんでもない風習があるもんだな、と驚いた覚えがあります。

アメリカのハロウィンほど、目にする機会の多くない
ガイ・フォークス・デイの印象的な場面と言ったら
英国犯罪小説の女王、ルース・レンデルの初期作品
「わが目の悪魔」の焚き火パーティーでしょうか。
通勤人が家路につく冷え込む夕暮れ時、
ロンドンのごちゃごちゃした町中の空き地に群がる
子供達と地元の大人、テーブルと簡単なごちそう、
期待に満ちた人々が見守る中で燃え上がるガイ人形。

心の平安をもたらしてくれる「守護天使」の失われた夜。
小心で狡猾な「ケンボーンの絞殺魔」は
再び暗闇に生まれ出ます。
常時隣近所の視線に晒される狭苦しいロンドンのアパートで
神経を尖らせ息を顰めて暮らす犯罪者のサスペンスと破局。
逃れられぬ殺人の衝動より、正体が暴かれる恐怖より、
ガイ・フォークス・デイの炎が一番恐ろしかった物語。
(ナルシア)


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