[ 風流な土左衛門 ] 1998年02月26日(木)
上野へテートギャラリー展を見に行ってきました。
一日仕事でしたが、それだけの甲斐はありました。
たとえば印刷ではいまひとつピンとこないターナーの風景画など
厚い蒸気の向こうから本当に光が射してくるようでした。
さて。目玉はやはり「余が平生から苦にしていた」と漱石も「草枕」で書いていた
「ミレーのオフェーリア」。
いや、私も中学生の時、「ハムレット」で王妃の語る“オフェーリアの最期”の
場面を読んで、“しばらく浮かんでいた”なら「はよ助けんかーい」と思い、
後、名画紹介の図版でこの絵を見て、「ほらっ、こんな小さな川なんだからー」と
思ったものでありました。
で、かの画の前にはみっしりと黒い人だかりができて(全員黒っぽいロングコートだから
なおのこと怖い)、頭の上からちらちらと緑の枝の輝いてるのが見えます。
列の端で中学生くらいの女の子が「この人死んでるの?」と
母親に囁きました。
まだだよお嬢ちゃん、今オフェーリアは古い歌をきれぎれに口ずさんでいる。
Narcia
(980226)
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