松浦弥太郎さんが編集長になってから毎号、『暮しの手帖』を買っている。丁寧につくられた記事に、心が洗われる。最後のページにある「編集者の手帖」(編集後記)を読むのがこんなに楽しみな雑誌はない。「今日もていねいに」―おそらくとても忙しいひとの言葉だから、毎回、はっとさせられる。本当にそう思っていることが伝わってくる文章は、気持ちがいい。複雑そうに見える料理も、挑戦してみると案外やさしい。先週は、最新号に載っていたケンタロウさんのカレーを作った。
今日は一日家にいて、ぱちぱちパソコンを打っていた(仕事)。夕方、ちょうどひときりついたころに雷が鳴って、夕立が来た。真っ暗な部屋でお風呂に入る。風呂から出たら、雨は上がっていた。気持ちがいいので外に出たくなり、黒くしめった道路を歩いて駅まで。濡れた髪が、夕暮れの風で自然に乾いていく。
スーパーとケーキ屋に寄った帰り道、毎日夕暮れ時に買い物をする人生を、想像してみる。掃除機をかけ、亭主が帰るまでに晩ご飯を作る。夕立の時にしまった洗濯物を、たたんで仕分けする。残った時間で新聞を読む。人には役割があり、それぞれがそれぞれの役割をまっとうして、おそらく昭和の人は暮らしていた。男は働き、女は家を守る。そうしたしくみを、ずっと不条理だと思ってきた。最近は、快適な生活を送るための知恵であったと、素直に認めている。
「働く」とは何だろうか。「暮し」とは何だろうか。社会人になって3年半、ずっと同じようなことを考え続けている。
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