日記
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2001年01月09日(火) アイスをねだる子

私のバイト先は2階にあり、1階はパチ屋なのです。
幼い子どもを連れて、パチンコをしに来る人は多いです。
母親はパチンコに夢中。
子供はつまんないから一人で遊んでいる。
なので、うちのバイト先には小さい子が一人で遊びにきます。
親が、夜の10〜11時に迎えに来るまでずーっといます。
バイトのみんなは、暇だと遊んであげています。
可哀想だから。

その子はよくアイスを食べてます。
っていうか、アイス以外のものを食べてる所を
ほとんど見た事がない。
親に買って貰ったり、バイトに買って貰ったり。
1日に4本以上食べてるんじゃないかな。
その子は「アイス買って」と、バイトにねだるのです。
みんなは、可哀想だから、買ってあげてます。
私は、ねだられた事も、買ってあげたことも、無いですが。
子供も、ちゃんと相手を見て判断してるわけですよね。

親は一体何考えてるのか。いや、何も考えていないのよね。
子供にちゃんとした食事を与える事、早く寝かせる事、
他人様に食べ物をねだる事など無い様きちんとしつける事。
親として当然の事が出来ない人が親になるべきではないのです。
親自身、まだ子供なのでしょう。自覚など無いのでしょう。
自分の事しか考えていないのでしょう。
だから、子供を何時間も放っておいても平気なのでしょう。


そして私はその子を見ていて、
全く別の事を思い出しました。
「アイス買って」と他人にねだる子・・・・・・・
私は人に物をねだるという事がなかった。
まぁ普通はそうだろうと思うけど。

私は、小さい頃から、我侭を言わない、とてもいい子だったから。
親に、何かを買ってくれとせがんだ事が無いと思う。
「何でも欲しいもの、言っていいのよ」と言われても、
特に無いと答える、そんな子だった。
私と弟を、一人で育てている母に迷惑をかけたくなかったのだろう。
弟は、私と違って欲しいものは何でも買ってもらいたがる子だった。
何時も我侭ばかり言っていた。私は、我慢していたのかもしれない。

しかしクリスマスが近くなったある日、下校途中の私を、
死んだ父の、母(私にとっては祖母にあたる)が待ち伏せをしていて、
欲しいものはあるかと聞いてきた。
その頃私の母と、死んだ父の両親とは
いろいろな権利をめぐって裁判で争っていた。
だからそんな方法でないと会えなかったのだ。
私は母を困らせているその人達が嫌いだった。
母が苦しんだり、悩んだりしているのは
この人達のせいだと知っていたから。
だから私には、この人達に迷惑をかけてはいけないという
概念は無かったので、聞かれた通り何も考えずに
その時欲しかったものの名前を言ったのだ。何も考えずに。
別のその人に買って欲しかったわけでもなく。

クリスマスの日、私の欲しかった物が部屋にあった。
私は、その人に話した事などすっかり忘れていたから、
ただ欲しかった物がもらえたので嬉しかった。
母が用意したのだと思った。

母は泣いていた。
「どうして、お母さんには欲しいものを言ってくれないの?」
と言って泣いていた。
母は、言われたそうだ。
「あんたは、子供が欲しがる物も買ってやらないのか」
そういって母を責めたあの人達。

母は、私が欲しいと言えば何だって買ってくれただろう。
それがわかっていたから、言えなかったのに。

私はそれ以来、やはり物をねだらない子になった。
もう絶対に母を泣かせまい、誰にも言うまい、という思いを、
ずっと抱えていたように思う。
そのまま大人になってしまった。
一度くらい、誰かにわがままを言ってみたいと
思ったことはある。


欲しいものは自分で買うからいい。



このあいだ、「iモードの携帯買って」と母に言ってみた。
そうしたら喜んで(?)買ってくれた。
そうか、こんな簡単な事だったのかと思った。




yuri |MAIL

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