2024年11月30日(土) |
The remains of the day |
決勝大会は、結論から言えば、「スピーチとは何か」という問いに対する答え合わせをすることができた内容でした。決勝大会の上位入賞者は特に際立っていて、派手ではなくても、しっかりと自分の主張を、自己の体験や客観的データと関連付け、聞き手を巻き込みながら表現していく。いくら中学生のスピーチとは言え、聞き終えた後には、「そうしてみよう!」「自分はどうだろう」と行動を起こしたくなります。 予選で際立っていたと思ったスピーチも決勝に上がると、埋もれる。なぜ埋もれるのか。やはり内容と伝達性のバランスです。つまり伝達性はあれども中身がスピーチになっていない。予選では、この内容と伝達性のバランスが決勝に比べると出場者間でやはり差があるし、個人の中でも内容はいいけど伝達性が弱い、内容はそこそこでも伝達性抜群といったことが起きます。なので、伝達が上手な子が選ばれることがあります。内容重視だけど、ある程度の内容で比べると伝達が上手い子の方が伝わってくるものが多い。だから予選を通過する。けど、決勝でみんなある程度の伝達性があるメンバーで比べると、現代の問題を取り上げ、自己体験からの学びや気づきを魅力的に語り、聞き手に行動を起こさせるような強力なスピーチの前では、珍しい・面白い内容を上手く伝達するだけでは埋もれる。ハーフだとか関係無い。決勝大会で上位7位を見ると、ハーフの子は1人だけ。やはり英語の運用を考えるとハーフの子たちは際立ってます。けど、訴える力は特別なバックグラウンドがなくても磨かれるんだなと思いました。 2位になった佐賀の弘学館中の子は、決して派手さはない。世界平和について、自分たちからできることがあることを自身の体験や客観的データ、キーワードを交え、優しい笑顔でしっかりと堂々と伝えてくる。平和という大きなテーマだけど、自分たちにもできること・すべきことがある。国同士の平和は今すぐには難しいし、それを左右する力は自分たちにはない。けど、個人間では文化交流を通して平和な関係を築くことができることを経験から学び訴えかけます。大きく言えば、よくありがちな平和に関するThink Globally, Act Locally.の話ですが、きちんとスピーチになっているので、「今さら」感はありませんでした。同時に、我々が普段教えている生徒からすれば、目指したくなるとてもよい模範でした。YouTubeに動画や原稿が上がるのが楽しみです。 1位の北海道教育大附属札幌中の子は、前回も決勝大会に出ていて、今回、悲願の1位といった感じでした。昨年度のスピーチは、個人的には、「上手いけど、これはスピーチなのか」といった感想を持っていました。AIについて語るのですが、別に誰でも言える内容。けど、確かに伝え方は上手い。しかし、優勝ならず(6位くらいではありましたが)。しかし、今回はまさにスピーチでした。直接本人に聞いたわけじゃないのですが、何かしらの考えや反省があったのでしょう。ネットなどに依存すると、物事への興味関心が薄れたり、新しいことに挑戦しなくなるという統計を引き合いに、挑戦するのが苦手だった自分がいかにしてこの弁論大会を始め、物事に挑戦するようになったのかという話で、最終的には、Tik Tok閉じて、新しいこと始めようぜみたいな感じです。まぁ、堂々として上手です。決勝大会でも言葉を噛んで2、3度言い直す瞬間ありましたが、全然うろたえない。ある意味自然と噛んで自然と言い直す感じ。「あ、やべ」みたいなの一切なし。つまりながらも、言いたいことを伝え通す感じで、別に何かが滞ったとか澱んだという印象はありませんでした。しっかり審査委員とやりとりして、主張を伝えていき、最後にはオチで、「Do you want my autograph?」と質問するんですが、一人の審査委員は手を挙げました。それに対しても自然な対応を行い、スピーチを締めました。上手いです。けど、ハーフの子みたいな上手さではありません。けど、抜群に伝えてくる。内容もよし。ちなみに内容は、外国で〜みたいな話じゃなくて、小学校で毎年やってた学級での演劇とか合唱での指揮と買っていう身近な話題。いや〜、見応えがありましたね〜。早くYouTubeに動画が上がってほしいものです。 なんだかんだ書いてますが、審査の基準や奥深いところまではもちろん分かりません。ジャッジシートも当然自分の生徒の分しかこないので、他と比べようもありません。けど、個人的に結果にそれほど疑問は持ってません。ワクワクが募るのみです!
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