+女 MEIKI 息+
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縄のれんをくぐって引き戸をガラガラと開けると、カウンターだけの店。 詰めて座っても7、8人の客で店内はいっぱいになってしまう店が浅草にある。 わたしが店に行く時間には、そんな小さな店だからいつも満席近い。 例え、カウンター席に空きがあったとしても、カウンター席には座らない。 客の背中に当たらないようにしなが蟹歩きをして、トイレに続く通路を通って店の裏と、まるでこれから店の手伝いをする身内のように進んでいく。 奥に進むと間仕切りに使用しているような床までの長いのれんを二度くぐる。その先に小さなタタキがあり靴を脱ぎ、持参したスーパーのビニール袋に靴を入れ、店の裏の蔵にお邪魔する。 それはそれは大きな蔵を改造したそこは、掘りごたつが4つあるだけで他には何も無い。もちろん冷暖房不完備、エアコンなんてものはない。 夏は全開の窓と扇風機で天然の風で涼を感じ、冬は脱いだコートを掛けるハンガーにすでに掛けてあるどてらを着込みこたつに足を突っ込むのだ。 田舎のバーチャン家に遊びに行ったような感覚で、そのまま眠ってしまいそうになるほどのお気楽な飲み屋である。 テーブル(掘りごたつ)が4つしかないので、他の客との距離も遠い。 ひとつのテーブルにに12人は座れるぐらいの大きな掘りごたつに、時間の待ち合わせ通りに着いてしまったりすると、ポツンと一人なわけだ。 「呑むぞ!」の一声で集まる連中ときたら、約束の時間はあって無いようなもの。それぞれが定刻の時間に終了しない仕事に就いているという理由もあるが、なんとなくゾロゾロと集まるというのがいつものパターン。
というその店にこのところ行っていないので、そろそろ行ってみようじゃないか?と、声がかかった。 ところが、だ。 集まる時間を遅めに設定してくれたところで「あらん、行くわよん」な状態でない今は、そんな飲み会があると教えられたところで、指を咥えてるだけしかない。 ぬぉーん、なんか溜まってる気がする。
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