+女 MEIKI 息+
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2003年07月19日(土) 主と愛奴(もしくは、浮気男とその愛人)


SMという言葉を借りて、自分の欲望を正当化するような発言には反吐が出そうになることがある。
(まぁ、いきなり汚い言葉だわ)
いいじゃないの、スケベはスケベでも。

その正当化している部分だけに惹かれる勘違いな人も、自分のスケベ部分が噛み合ったからでしょう?


「わたしの愛奴の中でも、20代の若い愛奴はよく出来た子で」
と、妻子もちの50過ぎたオジサマが言う。

『わたしは多数の愛人を持っていて20代と若い子まで居るんだよ、その子がとてもスケベでねぇ』
に、聞こえてしまう。

「わたしの言うことを、一語一句聞き逃さないようと懸命なんだよ」
と、オジサマが続ける。

『金銭を絡ませる頃合を、図るの上手くてね』
と、変換されて

「段階を踏んでお教えくださったから、A子はここまでこれました」
と、今でもA子が健気なことを言ってくれるとオジサマは自慢げに続ける

『もう相性バッチリでヤリタイことが、日増しにエスカレートしてるんだよねぇ』
と、相変わらずそう解釈して

「みんな夫々のスタートラインを持っているが、A子は凄い早さでわたしの望む処に近づいてきてくれているよ」

『色々な女を相手にしてきたけれど、A子は存分に楽しませてくれる都合のいい女だよ』


なんてこたーない。
スナックのカウンターで隣に座ったオヤジが、自分の愛人との惚気を酒の勢いを借りて親身なふりで話を聞いてくれる店のママ相手に喋っているのとなんら変わりない。



「キミはアレだね?やっぱりMっ気があると言われるだろう?自分でもそれを自覚しているんじゃないか?」
と、今度はこっちに話を振ってきた。
「主が居るというだけで、身も心もとても満ち足りた日々になるとは思わないか?」
同意を求められても…ねぇ。

しかし、わたしは気の良いスナックのママではない。
頼まれ仕事絡みとは言え、妙な弄り心が出てしまう。

じゃぁ、ということで
その自称30年のベテランS癖を持つ、オジサマに訊いてみた。

『では、もしわたくしなら、どのようにお導きくださるのでしょうか?』
「そうだねぇ、マズ…」
『まず?』
「そうだよ、イキナリなことは出来まい」
『失礼を承知でお尋ねしたいのですが、貴方の望まれる目的地はドコなのしょう?』
「…。」

言葉をなくすなよ!オヤジ!

言葉の駆け引きを楽しむのも、それはそれで良い。
相手に伝えて、相手からの言葉を受けて心の中で居心地の良い部分を作るのも素敵だと思う。
でも、ヤリたい気持ちをキレイに表現するのが好きで、長年ソレをしてきたと自負する人なら、生意気なわたしを納得させるだけの言葉を持っていて欲しかった。
このオジサマとならヤってみたいと思わせるような言葉ってことだけど。


厭ならそんな話、聞かなきゃいいじゃない。
思うのだけど訊いたことをまとめなくちゃいけない作業って、ぃゃぁんかも。

ぁ、もちろんスケベって性的な部分も指すかもしれないけど、根性のスケベさね。


蛇足
この話の内容が願望と羞美、専属と所有、拘束や縛りの艶かさに変換され、魅惑SMの世界となって何処かに埋もれる(かもしれない?)







私信

数日前、星を仰ぐ場所がありました。
ほんの数分の行き違い。
気づけば鍵も開いていないその場所に、
誰も尋ねて来るわけでなし
鍵を閉めたのが貴方であろうから、
閉じられた場所では、星に願いも届かず。
書置きをしてその場を去りました。

全ては夏の夜のゆめ



香月七虹 |HomePage