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管理日誌「庭園の午後」
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2003年02月12日(水) 盗作の話題

ノベルウッドを更新しました。2/12付登録分
全登録件数:299件(小説:290作品、支援:9サイト)

アドレス変更申請のあった作品の登録情報を更新しました。
「蛍の夜」(作・広重 様)
お待たせいたしました。

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今回の日誌は物騒なタイトルにしてあるので驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。小説ネットをふらふら彷徨っている時に見かけて、気になる話題だったのでご紹介しておきます。

近頃、個人の小説サイトで公開されているオリジナル創作作品が、まるごとコピー&ペーストで盗作されていることが発覚するという出来事が複数件、発生しているようです。
作品の登場人物名や、作品内の一文(冒頭の行など)を、Googleなどの一般検索エンジンで検索してみると、自作品とは関係のない第三者のウェブサイトで、「自分の作品である」として公開されているのが見つかった、というような内容です。

デジタル化されているオンライン作品の場合、紙に印刷されている作品よりも、盗作が容易ですので、不特定多数に公開されている以上、どの作品でも、被害に遭う危険性は充分考えられると思います。加害者側も、「シロウトの作品だから、ばれないだろう」という考えや、あるいは単純に、魔が差したというだけの理由で、安易に行ってしまう可能性もあるかと思います。

しかし皆様もご存知のように、作品には商用・趣味の作品に関わらず、執筆された瞬間に自動的に「著作権」が発生し、これを侵害するのは犯罪です。発覚し、告発されれば、法廷で罪に問われます。
そこまで大げさに考えずとも、他人が精魂込めて書いているものを、「自分が書いた」と嘘をついて奪ってしまうのは悪いことだというのが、道義的な常識でしょう。

盗作してはならない、というのは言うまでもないことですが、自分自身が被害者にならないように、防衛措置をとっておく必要もあるかと思います。
「自分の作品みたいな拙いもの/無名のものを、わざわざ盗むような物好きはいないだろう」というような考え方をして、防衛意識の薄い人も珍しくありませんが、私が思いますに、そういう人の作品こそ危険です。
もし私が盗作者なら、すぐにバレてしまいそうな有名作品や傑作から盗むような愚かなことはせず、シロウトである自分が書いても不審に思われないような、「ほどほどの作品」から盗むでしょう。
それに、作品というのは書き手の魂です。上手い・ヘタ、有名・無名、商用・非商用などは、どうでもいいことです。その尊厳は、等しく守られなければなりませんし、作品の生みの親である作者は、自分の創作物の尊厳を守る努力をしなくてはいけないと思います。

作品掲載ページに、著作権表示を記入するぐらいのことは、最低限やっておいて損はないでしょう。

著作権表示の例:
Copyright (C) 2000-2003 Afternoon Garden All rights reserved.

赤文字の部分は、発表された年から今現在までの期間を明記します。一年以上経過していない作品の場合は「2003(今年の年数)」とだけ書きます。(年が改まるたびに更新する必要はありません。更新しても構わないですが。)
緑文字のところは、著作権を管理している人物・組織・企業名などを書く部分です。英語表記であるほうが理想的ですが、和名しかない場合は、とりあえず和名を日本語で書くのでも構いません。

そして、もし自作品の明らかな盗作と思えるウェブページを発見した場合には、すぐに騒ぎ立てず、まず証拠を確保するようにしましょう。自分以外の知人の作品が盗作されているのを発見した場合も、同様です。
具体的には、そのページを自分のハードディスクに保存します。
もし信頼の置けるオンライン作家仲間がいれば、その人たちに内々にメールなどで連絡をして、証人になってもらうと良いでしょう。(公的な場で発言しないよう、口止めするのを忘れずに。)
知人の作品の場合は、保存したデータを添えて、本人に内々にメールで連絡し、具体的な対策は本人に任せて、勝手な手出しは避けましょう。

その後、問題のウェブページの管理者に、事情の問い合わせをしましょう。これも、いきなり「盗作しやがって!」と喧嘩腰に怒鳴るのでは、良くないと思います。内々に処理できるよう、メールで、「自分が公開している作品に酷似しているが、偶然とは考えにくいので、ご事情をうかがいたい」と冷静に伝えるほうがいいでしょう。

盗作者に情けは無用だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、検証を始める前には、自分の誤解という可能性も完全に否定することはできませんし(一語一句同じというような場合では、考えにくいですが…)、もし本当に盗作であっても、加害者側が魔が差しただけの未成年であるとかいった、情状酌量の余地のあるケースも考えられるからです。
加害者であるからといって、過剰な制裁を受けさせることには、私は賛成ではありません。対策を講じる目的は、問題が解決されることであって、復讐ではないわけですから。再発防止と称して、私刑めいたイジメが行われるのでは、社会として醜いです。

それとは別の観点から眺めても、いきなり問題を激化させてしまうと、争乱だけが一人歩きし、自分ひとりの手に負えなくなる事態も考えられます。作品の尊厳を守ることを第一に想うのであれば、なるべく内々に、かつ段階的に対策を進めるほうが賢明でしょう。


また別の懸案として。
まるごとコピーしているような明らかな盗作についてはともかく、全く関係のない二者が執筆した創作作品に、よく似た要素が含まれていることは、珍しくありません。作品を執筆なさる皆様の中には、構想中・執筆中の自作品とそっくりな作品を、商業作品やネットの他作品のなかに偶然見つけてしまって驚いたという体験をしたことがある方もいらっしゃるかと思います。

大衆が好むものには幾つかの定まった傾向がありますので、作品の品質向上を目指して、それを突き詰めていくことで、既存作品と類似していくという現象は実際にあるものです。
良作から影響を受けることもあるでしょうし、過去の傑作にオマージュされた作品もあります。定義が曖昧で微妙なのは問題ですが、似ている=盗作という図式が機械的に成り立つものではありません。
また、類似点を持つ他作品があるからといって、その新作に存在価値がないということはありません。読者は好むジャンルやカテゴリの新作は、一作でも多いほうが良いと期待しているでしょう。(あくまで私見ですが、オリジナリティというのは、類似作品がひとつも無いことと同義ではないと思っていますので。)

ただ似ているというだけで、その作品の作者が一方的に批判にさらされるというのも、恐怖政治や魔女狩りめいていますし、自由に執筆・発表できる場を好む立場としては、歓迎できない状況です。
しかし、自作品だけを守ろうと考える自己中心的な不特定多数に問題の解決を任せ続けた場合、そういう状況に容易に陥ってしまう恐れも充分にあります。

こういった問題の解決にあたる駆け込み寺的な中立的組織が、オンライン小説のネットワーク内にあれば、より良いと思うのですが、そういうものは今のところ無いようです。(私が知らないだけかもしれません。)
問題解決に当たる個人たちの、良識と理性に全てがゆだねられています。不安定な状況ではありますが、私はオンライン作家諸氏の公共心に期待しています。問題が発生しても、建設的な解決が行われていくものと思います。

長くなりましたが、自分のための随想として書きました。
私見の度合いが濃くなりまして失礼しました。


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