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2001年11月20日(火) 星を造る人



 獅子座流星群を見ていた、朝の4時半過ぎまで見ていた。シャワーと言うほどのこともなかったが、残像に残るくらいの尾を引いて行く物もあって、今まで見た中では一番だった。
寒い中、夜空を見上げていて久しぶりの感慨のようなものが湧いた。中学生の頃毛布を持って屋根の上でくるまり寝て、一晩中星を眺めて夜明けを迎えたことがあった。その頃、普通の夜でも、30個くらいは見えた。
只今回のような大きな物はそう幾度も一夜のうちには見られない。
ずっとそうしていると、心がとても豊かな気分になって、この世の細かい出来事いろいろなことが、あまり気にならなくなる。

 オリオンの星座を見ている内に昔読んだ、稲垣足穂(いながき・たるほ)の短編を思いだした。大正11年に婦人公論9月号に載ったのがはじめてらしいが、とても印象に残る短編だった。
 その昔(明治の頃?)神戸に星を造る人がいて、注文すると、その人は、神戸の海の上空一杯に、花火のように次から次にとぎれる事なく、星を天空から鏤(ちりば)め振りまき、それは六甲の山からもよく見え、空が昼のように明るくなったと、書いてあったように記憶している。
実際にあったかのような書き方だった。
この人の本は一時期ほとんど読んだ。伏見桃山にに晩年住んでいたこともあって、親近感があった。
足穂について作家達は次のような言葉を残している。

「このような文学は即刻叩き潰すべきである。」 (菊池寛)

「日本の文壇は、ああいう才能をわかってはやらないだろうな」
                      (谷崎潤一郎)

「我が国は君のような文学に対して冷淡であるが、書けるうちにドシドシ書いてください。」(芥川竜之介)

足穂は「終わり始まる」といった。
死出の旅路は、新生の始まり。死ぬのは怖いことではない、次世界への期待があり、終わりが始まりなのだ、楽しみだとどこかに書いていた。










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