夏休み中に、ExciteBitのニュースで見た、 「バ ング ント展」に行って来ました。
存在の消失、ということに焦点を絞った展示会で、 顔の消えた証明写真や、 死亡した人が所有しつづける車とか、 文字のところどころ消えた文章が、 壁の側面にびっしり書かれていたり。
テーマが面白いと思ったのですが、 思ったより展示品の数が少なく、 もっと練り込んだら、面白くなるのに、と 無責任に残念がったりしたのですが、
その中で一つ、とても気になるものがありました。
展示物である、「ソク・シン・ ン」
階段を降りて、展示場に入ってすぐにあった、立方系の白い箱。
畳2畳分より少し大きいかな、と思われるサイズの箱の中に、 主催者の「ア ヤ ズ(飴屋法水)」氏が、 開催期間中(24日間になるのかな?)その中で生活するというのです。 しかも、電気もない、真っ暗な中でですよ。
タイトルのそばには、何が納められているか、が
「換気用換気扇、シャツ何枚、トイレ用バケツ、爪きり、 食事(なにか栄養食のようでした)、食塩、水・・・」
というように、最低限のものが、淡々と並べられておりました。
会話は出来ないけれど、ノックをすれば、 同じようにノックで返してくれるというので、 おそるおそる白い壁を叩くと、少し遅れて、 「コン、コン」と音での返答が。
当然やったこともないけれど、真っ暗闇の中で誰とも話しもせずに、 それだけの間、なんの変化のない中で生活出来るものなのか、 正直疑問を抱きました。
すぐそばに、ドリンクを販売する箇所があったので、 何かの装置を使えば、その人たちがノックを返すことだって 可能だと思いますし、営業時間内だけ入っているということも 考えられます。 毎日中の人が違うかもしれません。
第一、その中でトイレをすれば、換気扇があったとして、 開場内にそういった匂いがしないというのはどうなんでしょう。
しかしだからといって、憶測以上の否定出来る材料はありません。 わたしが実践したわけでもありませんし、 自分で自分の耳を切っちゃう人だっているし、 そもそも芸術家や天才の考えや行動は、自分では理解できませんし。
ただ、「入っている」と書かれた段階で、 「入っている」ということが、本当だろうが嘘だろうが、 それがそのものについて考える時の、前提になってしまう。
存在の消失、前提の消失。
目の前のものが存在しているかどうか、 疑問を抱くということが狙いなら、 これ以上の成功はないかもしれません。
疑うということ自体が目的なら、 空けて事実が明るみにしたところで、 意義がなくなってしまいますし。
なんというか、シュレディンガーの猫みたいです。
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