■TRASH■

2005年08月25日(木) 観測者問題?

夏休み中に、ExciteBitのニュースで見た、
「バ  ング  ント展」に行って来ました。

存在の消失、ということに焦点を絞った展示会で、
顔の消えた証明写真や、
死亡した人が所有しつづける車とか、
文字のところどころ消えた文章が、
壁の側面にびっしり書かれていたり。

テーマが面白いと思ったのですが、
思ったより展示品の数が少なく、
もっと練り込んだら、面白くなるのに、と
無責任に残念がったりしたのですが、

その中で一つ、とても気になるものがありました。

展示物である、「ソク・シン・ ン」

階段を降りて、展示場に入ってすぐにあった、立方系の白い箱。

畳2畳分より少し大きいかな、と思われるサイズの箱の中に、
主催者の「ア ヤ   ズ(飴屋法水)」氏が、
開催期間中(24日間になるのかな?)その中で生活するというのです。
しかも、電気もない、真っ暗な中でですよ。

タイトルのそばには、何が納められているか、が

「換気用換気扇、シャツ何枚、トイレ用バケツ、爪きり、
 食事(なにか栄養食のようでした)、食塩、水・・・」

というように、最低限のものが、淡々と並べられておりました。

会話は出来ないけれど、ノックをすれば、
同じようにノックで返してくれるというので、
おそるおそる白い壁を叩くと、少し遅れて、
「コン、コン」と音での返答が。

当然やったこともないけれど、真っ暗闇の中で誰とも話しもせずに、
それだけの間、なんの変化のない中で生活出来るものなのか、
正直疑問を抱きました。

すぐそばに、ドリンクを販売する箇所があったので、
何かの装置を使えば、その人たちがノックを返すことだって
可能だと思いますし、営業時間内だけ入っているということも
考えられます。
毎日中の人が違うかもしれません。

第一、その中でトイレをすれば、換気扇があったとして、
開場内にそういった匂いがしないというのはどうなんでしょう。

しかしだからといって、憶測以上の否定出来る材料はありません。
わたしが実践したわけでもありませんし、
自分で自分の耳を切っちゃう人だっているし、
そもそも芸術家や天才の考えや行動は、自分では理解できませんし。

ただ、「入っている」と書かれた段階で、
「入っている」ということが、本当だろうが嘘だろうが、
それがそのものについて考える時の、前提になってしまう。

存在の消失、前提の消失。

目の前のものが存在しているかどうか、
疑問を抱くということが狙いなら、
これ以上の成功はないかもしれません。

疑うということ自体が目的なら、
空けて事実が明るみにしたところで、
意義がなくなってしまいますし。

なんというか、シュレディンガーの猫みたいです。


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