| 2005年10月04日(火) |
トルコのEU加盟交渉開始 |
トルコが欧州連合(EU)加盟に向けての交渉を始めたとニュースで読んだ。トルコ加盟交渉開始に関して、オーストリアは最後まで抵抗したが、何とか折れたらしい。EUの議長国はローテーションで加盟国に回ってくるが、現在の議長国はイギリスで、今回の一大イベントに際し、議長のイギリス外相は30時間ぶっ通しで、最後まで粘り強く各国への説得に当たったらしい。
オーストリアというと、ウィーンには全長約4キロの環状道路、リング通りがあって、以前はトルコ軍攻撃の要塞としていた壁があり、トルコ軍の残したコーヒー豆がその後、ウィーンのコーヒーとして知られるところとなる、というのが古い時代のトルコとオーストリアの関係。現在ではオーストリアの人口の12%を占める移民のうち、トルコ系は2番目に多いらしく、これ以上の移民を懸念しているというところ。
イスラム圏であるトルコの異質性というのはかなり大きな懸念となっているらしい。大胆かつ斬新的なアイデアでEU統合を進めるかと思えば、保守的なところもあるのがヨーロッパだが、保守的なところでは、「違うもの」を受け入れるのは容易ではないのはどの国でも同じこと。トルコが加盟してもしなくても、他国へ行こうと思う人は行くわけで、加盟によってどれだけ移民が増えるかわからない。
EU加盟に向けての動きについて、ネジャーティと話していると、加盟で得をするのはトルコ側にあるという印象を受けた。国営の民営化の動きと、EU諸国からの投資の増加で経済成長を進めると同時に、三権分立の徹底的な確立と、軍の権力と三権への介入、圧力を弱めることなど、メリットがある。
日本では軍隊を持たなくなって久しいし、三権分立は当たり前になっているぴんと来ないところもあったりするが、トルコでは裁判所の裁判官まで軍の圧力がかかることがあるらしい。軍のクーデターがあったりというのは、戦前の日本だけではない。ひとたび軍が権力を持つと、強めることはあっても弱めることは難しい。
EU加盟交渉は始まったばかり。EUが新たな歴史を綴るかどうかは交渉の結果次第。
---------------------------------
ネットから引用
【ルクセンブルク4日共同】欧州連合(EU)は3日、ルクセンブルクでの外相理事会で、トルコとの加盟交渉開始で合意、4日交渉に入った。トルコは1987年に当時の欧州共同体(EC)に加盟申請し、19年目でようやく交渉開始にこぎ着けた。しかし、国内改革の推進やキプロス承認など難問も多く、悲願の加盟実現には少なくとも10年はかかる見通し。 またトルコの加盟反対派が多いフランスでは加盟の是非を問う国民投票も予定されている。 理事会では交渉の手続きや条件を示した枠組み文書の修正を求めていたオーストリアが最終的に譲歩、文書が承認された。トルコも文書に同意した。 トルコのギュル外相は4日未明(日本時間同日午前)、ルクセンブルクに到着、各国外相らと約1時間にわたり加盟交渉をめぐって初めて協議した。
【ルクセンブルク4日共同】4日から始まった欧州連合(EU)とトルコの加盟交渉は、終結まで「10年はかかる」(EU外交筋)とも言われている。受け入れ側のEU諸国に、イスラム文化圏であるトルコの「異質性」に根強い警戒感が残っているからだ。トルコにとって当面は、キプロス承認とトルコ加盟の是非を問うフランスの国民投票が難関となる。 交渉開始に最後まで抵抗したオーストリアは、人口の12%を移民が占め、トルコ系は旧ユーゴスラビア系に次いで多い。2003年には、移民らにドイツ語習得を義務付ける「統合法」が施行されるなど、移民の社会的統合に神経をとがらせてきた。トルコのEU加盟がトルコ人の大量流入につながるとの懸念は根強い。
|