オクラホマ・スティルウォーターから

2004年09月24日(金) ニュースの真意

 年々拡大を見せているEU(欧州連合)の加盟に向かってトルコも交渉を進めているようだ。

 ネジャーティに聞くまで知らなかったのだが、EUと名前が変わる前のEC(欧州共同体)ができるときに、トルコも加盟のオファーがあったようなのだが、当時のトルコ政府が受け入れなかったために、その後政府がECに加盟したくてもできなかった、という背景があったらしい。

 EUはさまざまな面で統一しようとしているのだが、イギリスのように、EU域内での自由移動や通貨統合には参加しないという加盟国もあるし、EUに入ったからといって全ての面で参加しなくてもいいようなのだが、EUの加盟国と比べると人口が多い(6000万人)トルコの加盟がEU全体や加盟国にどのような影響を与えるのか、というのを慎重に考えないといけないところなのだろう。トルコ自体もEU加盟の準備には法制面でもをEUに近づけないといけないので大変だ。

 それで今日目にしたニュースが、「姦通(かんつう)罪」に関する法制。トルコは80年前に制定した刑法の改正を進めていたようなのだが、姦通罪に関する法律も盛り込もうとしていたようだ。しかし、ネジャーティに聞く限りでは、今までの首脳とは違って、頭がよく、とてもやり手な首脳人たちが、なぜ姦通罪を法制化しようとしたのか、ちょっと疑問に思ったのだった。

 トルコでも、一般市民はおろか、内閣の中でも不に落ちないようだったのだが、首相とごく限られた周りの首脳たちで、どうやらEUとの駆け引きに出たか、あるいは国内外の反応を試そうという動きがあったらしい。国内では、いつもは「EUは我々には要らない」と言っている左翼の政党も、「姦通罪を適用したらEUに入れなくなる」と反対したらしい(与党に噛み付くだけが能なのか・・・)。もちろんEUからも猛反発を受けたのだが、首相がEU本部に赴き、削除する旨を告げ、その場から首脳陣に連絡し、取り下げたようだ。

 その背景には、EUから、当初盛り込まれていなかった法改正を次々と迫られたようで、今回は、これ以上法改正の条項を追加しない、という条件で姦通罪を削除した、ということがあったらしい。もともと政府首脳は姦通罪をほとんど気にしていなかったらしい。

 今の首脳陣は、頭がいいだけでなく、次々といろんなことをやり遂げる実行力というか行動する強さがあって、日本の政府もちょっとは倣わないといけないんちゃう?と思ってしまうのだった。

 どんなニュースかというと、↓



Yahooのネットのニュースから抜粋
トルコ「姦通罪」削除へ 改正刑法 EU「加盟に障害なし」

 【パリ=山口昌子】トルコ政府が改正刑法に「姦通罪」を盛り込もうとして欧州連合(EU)が懸念を示していた問題で、フェアホイゲン欧州委員(拡大担当)は二十三日、ブリュッセルのEU本部で、トルコのエルドアン首相と会談した。同委員は会談後、「障害はもはやない」と述べ、首相が「姦通罪」の削除に同意したことを示唆した。トルコは二十六日に臨時国会を招集して改正刑法案を採決する。

 EU加盟を目指して民主化を進めるトルコはその一環として、一九二六年制定の刑法の改正を進めており、改定案の大半の三百四十項目をすでに国会で採決済みだった。ところが、十七日になって、今月末に予定されていた国会での改正案全体の採決の延期を発表。

 首相も十七日、「だれもわれわれの内部事情や国会作業に干渉する権利はない」と名指しこそ避けつつもEUを非難した。
 このため、いったん撤回したとみられていた「姦通罪」の導入を強行しようとしているとの懸念が、欧州で再浮上した。

 フェアホイゲン委員はトルコの加盟交渉の開始時期を決めるうえで、この採決延期は「非常に憂慮すべき事態だ」と指摘し、「新刑法の採択によりトルコが法治国家としての条件を満たしているか否かを知ることができる」と、十月六日までに「姦通罪」を削除した改正案を採決するよう暗に要求。同日までに採決しない場合、トルコのEUへの「加盟交渉開始を拒否する」と警告した。

 欧州委員会は同日までに、トルコの民主化や改革問題に関する報告書を提出する予定で、EUは報告書に基づいて、十二月中旬の首脳会議で加盟交渉の開始時期を決める段取りになっている。
 エルドアン政権は、穏健派のイスラム主義政党「公正発展党」の単独政権で、これまで加盟に向けて少数民族、クルド人の権利拡大や人権状況の改善を推進、民主化努力を示してきたが、「姦通罪」を保持した方が国内世論の支持を得やすいと判断したとみられる。

 欧州では、不倫は刑罰の対象ではなく、道徳の問題ととらえるのが普通であり、トルコの「姦通罪」問題は、欧州憲法批准を控えたEU加盟各国で「欧州とは何か」という命題とも絡んで論議を呼び、トルコ加盟反対派を勢いづかせていた。
(産経新聞) - 9月24日3時0分更新


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