ネジャーティのアドバイザーである教授はかなりの色盲らしい。
それがなぜわかったかというと、研究室に教授がトルコのコーヒーカップを持ってきたときに、ちょうど色の話になって、教授自身が色盲であることを言ったらしい。 例えば、夜見えにくいときだと、信号の位置でしか色(赤か緑か)がわからないから、奥さんが運転するとか、服の合わせ方も奥さんが、この服にはこの服とかネクタイとかちゃんと合わせて吊るしてあるらしい。 赤と緑がどのように見えるかというと、よくわからないとグレーっぽく見えるとか。
話を聞いて、それって化学の世界では大変なことじゃないの? とネジャーティに聞くと、やはり学生の時の実験でよく失敗したらしい。例えば、ビーカーか試験管かわからないが、ある液を垂らしてすぐにピンクになったら止めないといけないのに、色がよくわからなくて、とても濃いピンク色になってしまったとか、いろいろあったらしい。
それじゃあ、どうしてるの? と聞くと、教授の専門は色の識別が要求される分野ではないらしい。化学にもそういう分野があるのか、よかった、よかった。 そんな教授だが、専門分野ではとても権威のある先生らしい。それでも「Dr.〜」と呼ばれるのはいやで、学生にも下の名前で呼ばせている。トルコでは日本と同じように、○○先生と呼ぶのが一般的で、ネジャーティはついくせで、「Dr.〜」と言ってしまうことがあるようで、その時にはその教授は「聞こえなかった」とネジャーティに下の名前でもう一度呼ばせたようだ。アメリカでも権威のある先生ほど気さくで謙虚な人もいる。私もフロリダ時代にそういう先生を知っている。
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