2010年01月10日(日)
 『終わりなき旅』 Mr.Children

日本サッカーが美しい輝きを放っていたとき、その真ん中にいたのは名波浩だった。

かつて私が愛した美しい日本代表で、
日本サッカー史上もっとも美しく強かったジュビロ磐田で、

中心選手なんてもんじゃない。

彼は、君臨していた。


名波抜きではどうにもならない「N-BOX」と呼ばれたフォーメーション。
パスワークの美しさにうっとりした。

思えばずっと、日本代表に常に足りないパーツは名波浩だったのかも知れない。

少なくとも私は何度も何度も何度も思った。

ここに名波がいれば。
名波が若返ってくれれば。

その左足で繰り出すエレガントなプレーで
全員の特徴をいかせるポジション取りや指示で


いい素材がたくさんあったって、
組み立てられるひとがいなきゃどうにもならない。
美味しい料理にならない。ハーモニーにならない。

名波はそんな職人で料理人で指揮者のような存在だった。

アクの強い素材だって、名波に掛かれば美味しくいただける。
ひとつのお鍋の中で、見事に調和して孤立したりしない。
少々いい材料が集められなかったとしても、
名波に掛かればいいところを余す事なく引き出してくれる。




昨日の引退試合で、私は名波がどんなに素晴らしい選手だったか再確認した。

今もなお、それぞれのいいところをすごくすごく引き出していた。
プレーでも、それ以外のところでも。

周到な準備をして、しめっぽくない笑いの絶えない素敵な引退試合を
みせてくれた彼の人柄に今また改めてぐっとくる。

とても楽しかった。

みんな笑顔で、会場全体がとても笑顔で、
なんていうか、昨日集まったひと全てをそれまでよりもっと好きになったんだ。
名波がいることで、それぞれのひとの個性をより感じられるんだよ。
そして素晴らしい仲間といることでその真ん中で彼はやっぱり輝いている。
彼の持つ、圧倒的な肯定の力。

最後の本人の挨拶までみんなで爆笑。
http://www.youtube.com/watch?v=LBQ2FHi5MBE

改めて今の名波がとても好きになった。

こんな選手ほかにいない。

ひとつひとつのプレー以上に彼の指示がどんなに的確でわかりやすかったか
試合後のインタビューでカズが言ってたことがとても象徴的だった。



彼と過ごした間、日本代表はいつだって史上最強で
たくさんの夢をみせてくれた。たくさんの夢を共有した。

そして、夢を叶えてくれた。

初めてのワールドカップに連れていってくれたこと。
アジアで一番強いのは俺たちだって、胸を張って思えたこと。


サッカーはひとりでやるものじゃないってことを
あなたのいない日本代表であれからずっと思い知らされている。



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