朝、玄関チャイムが鳴りました。
お向かいの老夫婦Iさんのおじいちゃんでした。
「うちの玄関先で猫が死んでるんだけど・・ お宅の猫じゃないよね?」
うっすら雪をかぶって 白黒の大きな猫が 横たわっていました。 マイナス7度の朝のこと。
近所でよく見かける大きな白黒猫で、猫相がふてぶてしく 私は「ブタ猫」と呼んで、エッセイにも書いたことがあります。
やはり近所の動物好きのN本さんに声かけました。
「Kさんちの「ニャア」だよ」と彼女が断言しました。
Kさんちは離婚して奥さんが出て行ってしまった、それで ニャアはあまり家に入れてもらえず、近所を うろうろしてる、という話は数年前に聞きました。
身体が大きくいつも元気そうだったけど、 実は飢えていたのでしょうか。
Kさんちの呼び鈴を押したけど誰も出てきません。
N本さんとわたしで ニャアの亡骸をダンボールに入れました。 昼過ぎ Kさんちにまた 行ったけどやはり反応無し。
紙に猫のことと私の連絡先を書いて郵便ポストに入れました。 丸一日待って連絡が来なかったら保健所に来てもらおうと思ってました。
帰宅した三女にその話をしたら 朝 学校に行くとき、7時半には元気に道を横切って 歩いていたそうです。
そのあと お向かいのIさんちで心臓発作でも起こしたのかも 知れません。 抱き上げたとき、まだ少し暖かかった。
そして今朝のこと、Kさんから電話がありました。
ご主人はニャアの亡骸を見て、驚いて、そして無言で ダンボール箱を抱きかかえ、小さく会釈をして帰って行きました。
ありし日の「ニャア」左
|