CORKSCREW Diaries(米国編) |
かつて韓国に行ったとき(たかだか7・8年前の話だが)かなりの場所で日本語が通じたことを私はよく覚えています。それが今、ホテル等でも英語は通じても日本語は通じないことが多いです。一体この5・6年で何が起こったのでしょうか。 現実としてアジア諸国でもっとも優秀な学生や研究者はまずはアメリカや欧州に留学するそうです。そして日本に来る学生はそこから漏れた二番手、三番手と言うことだそうです。 では果たして日本で学ぶことが出来ることは少ないのでしょうか? いいえ、そんなことは決してないはずです。 昨年我が国からノーベル賞受賞者が二人も出たことも記憶に新しいことですし、それが示す通り、日本の技術、研究と言ったものが世界水準にあることは間違いないでしょう。日本という国が国際的に誇ることが出来るものは数多く存在しています。 しかし日本で研究を行うことには確かにいくつかの問題があります。。 まず一つに日本語の難しさです。日本に留学する以上は日本語を学習する必要があるのですが、日本語と言う言語は敬語を筆頭として完璧にマスターするのが本当に難しい。そして更にその日本語を難しくさせているのが漢字の存在です。普段から漢字を使い慣れている中国系の研究者以外の人にとって、やはり漢字等を一から覚えるのは大変困難であると思います。アルファベットやハングル文字のように簡単な表音文字を組み合わせればいいというわけでは無く、漢字は日本で生活していく上で不可欠なものとなっています。これが高いハードルとなっています。そしてそれがまた日本で学習、研究を行う人々にとって大きな負担を強いることになっています。 もう一つの問題として、海外の研究者、留学生の受け皿としての日本の大学の整備が大変不十分であることが挙げられます。まだまだ日本という国は閉鎖社会であると思います。実際私の以前住んでいたアパートも外国人留学生の受け入れには消極的でした。 また、特に所得が少ない国の人々にとって、日本の物価の高さはこれもまた足かせとなります。やはり衣・食・住の保証があって初めて勉学に勤しむことが出来る訳であり、ただ単に研究者・留学生の受け入れ人数のみを増やせば良いという問題ではないと思います。受け入れ先として、外国人にも安心して使用してもらえる環境をまずは整えることが重要な課題であると思います。 こう言った問題を踏まえた上で、大学の国際競争力を強化させる為のメソッドとしては挙げられるものを何だろうか述べていきたいと思います。 やはりまず一番重要なのは受け入れ先としての大学の環境を整えることであると思います。研究に係る環境を整備するのは当然のことであり、それ以上に衣食住の保証をきちんと行うことこそが重要であると思います。特に外国人が格安で入居可能な住居の整備は不可欠です。先程も述べましたが、日本という国はまだまだ閉鎖的な所が多く残っています。外国人研究者が住居を安心して借りられたり、日本語を学習することが出来ること、そういった学習に専念出来る環境を作り上げることをサポートする体制が必要です。数多くの外国人研究者を受け入れ、そして交流を深めることが、国際競争力の強化の第一歩に繋がることだからです。 そして思うことは、いっそのこと大学での公用語を英語にしてしまってはどうだろうか、と言うことです。諸外国で英語が公用語として使われているように。多くの研究者は英語を話すことが出来ます。いくら「ここは日本だ」からと言って、英語が使える環境を創造することは大変重要なことです。トップクラスの研究者・学生にとって魅力ある環境にするためにも、実現することが望ましいと思います。それに合わせてスタッフの能力を向上させることも大変重要なことですけれども。ただ、公用語として英語が使えると言う環境を創造することによって、、日本語が難しいからと言った理由で日本を敬遠していた研究者を振り向かせることが出来るのではないでしょうか。勿論ローカルな部分では日本語を使用することは全く問題はないのですが、大学全体として公用語としての英語を義務づけること(それは勿論学生のみならず事務職員も含みます)、ここまで環境を整備できたら競争力も格段に強化されるのではないでしょうか。 最後に、IT化が進行し、ボーダレス化した社会においてネットワークのの活用の推進似ついて述べてみたいと思います。 これだけネットワークが進化した時代になったのだから、それをもっと活用する方法を考えるべきであると思います。メール等でのやりとりは勿論のこと、会議や打ち合わせと言ったことも、LANを通じて低予算で行うことが可能になってきています。 国際競争力の強化の為には国外の大学とのより密な連携を行う必要があります。現在は、それが出来る時代になっている訳ですから、もっともっと情報をオープンして開かれた大学になっていく必要があると思います。そして、大学について国内的だけでなく、国外的にアピールすること。ネットワークを活用すればそれもかなり容易に行えるのではないでしょうか。 上記で述べさせてもらった様に、大学の国際競争力の強化を行うに当たっては、より多くの内外、及び企業との連携が不可欠でありましょう。「国際交流」とはよく使われる言葉であるが現実にはさまざまなことが可能です。実際に留学生を受け入れたりこちらから行くと言うことも大切なことですが、ネットワークを活用することによって離れた場所からでも緻密な連携をとることも可能となっています。手段というものはいくらでも存在しうることです。そう言ったさまざまな手段によって広く情報や意見を交換することこそが、今後の日本の大学の国際競争力の強化に繋がるであろうと思います。 |