CORKSCREW Diaries(米国編) |
結局眠れずに読んでしまった「アンテナ」@田口ランディ。 初めに書いておくが僕はこの作者は嫌いである。 何故かと言えばココロに入り込んで為たくもない共鳴を僕に強いるから。 村上春樹のように、自然にシンクロして共鳴するのとは全く異なる。 不作法にアタマの中に入り込んで、そして掻き乱していく。 昔何かの本で読んだことがある。 「堕胎」のやり方は、細長い器具を使って子宮の中の子供を引っ掻きだすのだ、と。 そしてそれが母体に及ぼす影響は例えそれが妊娠初期のものであっても、計り知れないと。 僕は勿論堕胎したこともないしさせたこともないが、 この人の本を読んでいると、 そう、子宮の内部を人工器具で引っ掻き捌かれるようなそんな感覚に陥るのだ。 僕には子宮なんて無いけれども分かるような気がする。 「嫌い」と「好き」と言う感情は紙一重で、 それだけ気になるからそういう感情が生じるものだ。 どうでもいいものに人は関心など持たないからだ。 大嫌いだとか書きながらもそして僕は知らず知らずのうちに魅了されている。 主人公が封印してきた性欲の世界に目覚めるが如く。 「人間はその生涯をセックスに支配されてる」 世の中の人間が普段は隠蔽している事実を突きつけられる。 最初に彼女の「コンセント」を読んだときに性描写の生々しさに一度は本を閉じた。 村上春樹の、まるで空気を抱くようなある種さわやかな性描写と全く違う。 女の視点から描かれた生々しい性。 でも今の世の中に性は溢れている。 ある意味とても分かり易い。 認めよう。僕もセックスに支配されてる。 セックスを求めてる。 そして妄想にも支配されている。 全てのものが歪んでいる。 田口ランディの小説以外の文章は決してそういうものではない。 コラムを読んでみても思う。 しかしやっぱり「アンテナ」も、 分かりたくもないけれども分かってしまう自分がいる。 最後に言ってしまおう。 僕はどうしようもないぐらいにこの人の書く作品が大嫌いなのだけれども、 その一方でどうしようもないほど愛している。 |