問わずにいられない - 2005年05月23日(月) 朝,1本の外線がかかってきたのが始まりだった. 原稿を書いてもらった先生が,亡くなったとの報せだった. は? 死んだ? 電話の向こうはその先生を紹介してくれた人だった.泣いているのが声から分かる. どうやら,自殺だった,とその人は悔しそうに言った. 「何でだよう」 一言,本当に小さく,悔しそうにそうつぶやいた声は12時間以上たった今も耳に残っている. 亡くなった先生とは,直接会ったことはない.電話で,期限に間に合わないから,遅れるからすみません,と短い会話を交わしただけだった. 2,3日の遅れでいただいた原稿の文面からは,優しそうな,繊細な先生の人柄が感じられた. 掲載予定だった原稿に追悼文を入れ,印刷所には無事に間に合うようにデータを渡せた. ばたばたとして,1日が過ぎた. 私はいつも通り,笑っていたし,同僚と話しもしたし,ご飯も食べた.嬉しいこともあったし,それなりに私にとっては幸せな一日だったと思う. 弔電を打つために,葬儀会場で喪主の名前を聞いた. 喪主は父親だそうだ.名前を聞いて,まだ結婚はされていなかったのだろうと想像した. きっと,父親にとって,自慢の娘だっただろう. 今後,私が自殺の原因を知ることはないと思う. だから,かもしれないけれど,どうしても,問わずにはいられないのだ. それは,あなたの周りの人すべてを,悲しませてまでも,得たかった安らぎなのか,と. -
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