ベルナール=ビュッフェは売れっ子だった(意外) - 2025年10月31日(金) ちょっと過去日記。10月31日に中之島の香雪美術館にベルナール=ビュッフェ展https://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/を見に行った。毎週金曜日は新長田デーなのだけど、この日はいつものホアマイ教室(ベトナム語母語教室)が小学校の音楽会前でお休みで、ナドウリミュージアムの座廊業務後,18時30分からお友達と約束前に3時間ほど時間がぽっかり空いたので、ちょっくりビュッフェを見に行った。 ベルナール=ビュッフェは黒い線で輪郭を取ってて,なんか不安な感じの絵が多くて,きっと売れなくて悲しい気分の作家さんあんだろうな,と思ってた。大学3年生の時に母校竹馬大学から車で少し行った笠間日動美術館で特別展やってたときお友達に誘われていった事があり、あんまり美術館とか行く習慣のない大学生だったので,画家についての説明とかちゃんと読まないで絵だけ見て,黒をいっぱい使ってるし,輪郭が黒くて,初期作品は特に不安な感じの絵がたくさんだなあと思って、「売れない悲しい作家のベルナール=ビュッフェ」という勝手なイメージを作っちゃってたんだな。 でも今回、中之島香雪美術館でしっかり美術館の解説を読みながら回って、しばらくカフェで休んだ後、学芸員さんによるミュージアムガイドも聞いちゃったので,ビュッフェは10代にしてパリの画壇で激賞されて,超売れっ子になって,女優の奥さんと結婚してすごい華々しい画家だったと言うことをはじめて知った。華々しい大成功画家なんだけど、パリではなんかすごく批評されて、批判されて若くして郊外のお城を買い取って,そこにこもって創作に明け暮れて、あの黒い輪郭の絵をいっぱい量産しちゃったということを今回初めて知った。 ビュッフェ展を見てから、ミュージアムガイドを聞きに行くまで1時間ほど時間があったので香雪美術館が入ってる建物の1階のカフェで本を読んでたんだけどそのとき読んでたのがあるオートエスノグラフィーで、息子さんがドナウ川で溺死してしまい、大使館からの連絡で現地に駆けつけて必死に息子さんを探す、後に社会学者になる人の経験を自ら描いたオートエスノグラフィーだった。死んでしまったのか生きているのかわからない息子さんと二人繭にこもって対話しながら,そして周囲とはまるで繭を隔てたかのように断絶し、ひたすら彼を求める社会学者の経験が、外国では激賞されているのにパリ市民には批判され、お城にこもって<描きたい物>に向き合うビュッフェの孤独と共鳴するように読んだ。 この本 のコラム7ね。 まあそういうわけで、12月14日までのビュッフェ展と「構造的差別のリアリティ」本、どっちもおすすめです。 ...
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