南の島の大統領 - 2013年10月24日(木) 今日はちょっこり締め切り前に仕事が終わったので1日休日にして映画、南の島の大統領を見てきました。某A様の強力プッシュがなければ行かなかったと思いますが、これはなかなか見ごたえのあるドキュメントになってました。オススメありがとうございました>A様。 2008年まで続いた30年に及ぶ独裁政権とガンジーのようにマンデラのように戦い、拷問され、投獄され、亡命し、危険を冒し帰国し、そして選挙を経て、政権についた41歳のナシード大統領が、民主化を求めてともに戦った仲間と、同じ熱の量で、今度は文字通り海に沈みゆく祖国を救うために地球温暖化を食い止めようと国際政治の舞台で大国と渡り合う話です。 ジョン・シェンク監督が大統領のスタッフとして内部からカメラを回しているのでここまで撮っちゃうの?という映像満載でした。 国際会議で利害の違う国々の駆け引きを描いたドキュメンタリーと言えば「おいしいコーヒーの真実」のラスト30分のWTOカンクン会議の決裂を描いた場面が記憶に残るのですが、食い違う途上国と先進国の分断と先進国に有利な会議システムを余すことなく描きながら最後は分裂して機能停止に陥ってしまうカンクンに比べて、今回のこの「南の島の大統領」ではそれぞれ途上国と先進国と名乗る大国が互いの責任を非難しあう間で、ナシード大統領があくまで途上国側に身を置きながら、「それぞれの主張があるのはわかるがとにかく私たちは今まさに海に沈みゆくのだ、それを救えるのに対立によってこのチャンスをつぶすのか」と訴え、具体的な数値目標に関しては譲歩しながらも、決裂を回避し、法的拘束力はなくても合意に導き、とりあえず未来への対話の道を切り開くコペンハーゲンのCOP15の閉幕で物語は終わる。 原理原則の対論ではなく、解決への糸口を何とかひねり出そうとする対話へとその場を導いていくナシードの言葉の数々に胸を打たれる。例えばアメリカがすでにCO2を排出しているのだからインドにだってその権利があると述べるインドのジャーナリストへのガンジーの言葉を引用して相手の心を動かすシーン、そして最後のコペンハーゲンの演説。 またそういった国と国の対話がカメラによってつまびらかにされていく効果、ということも感じた。誰だって自国の経済的利益のために環境テロリストとして歴史に名前を刻まれたくはない。この議論をガラス張りにすることで各国の正義を引き出す手法はノーベル平和賞を受賞したICBL(世界対人地雷禁止キャンペーン)のジョディ・ウイリアムスを彷彿とさせる。 つまり、この大統領はすごく市民活動家っぽいのだ。ストリートで磨いた戦術を国際舞台で炸裂させる。 しかしこの映画の完成後、ナシード大統領は旧独裁政権派の軍のクーデターによって2012年に国を追われ、ストリートに戻ってまだ戦っている。物語は全然終わらない。とにかく注目しよう総選挙が来月19日に混迷の中で行われようとしている。 モルディブ大統領選挙に関するニュース 追放後のナシードのインタビュー ...
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