かつえ(餓え) - 2011年06月22日(水) 忘れたころに送られてくる帰国協力隊員通信「瓦版」というのがある。 昔は求人情報が充実していてかなり楽しみに読んでいたのだが、途中住所変更などで購読が途切れた時期もあったりした。最近また復活したんだが、昔より情報量がまあ<しけ>ている。 しかし前号の瓦版はちょっと面白かった。事業仕分けでばっこんばっこん、予算が削られてピンチなので協力隊OB/OGの声を結集したい、ひいては現職議員のOB/OG名簿を作りたい、ためしに把握している人だけ載せてみると10数人の現職議員OB/OG名簿があったのだが、意外な知人の意外な行く末が読めたりして楽しかった。 そんな記事の中で活躍中の協力隊OB/OGを取り上げる欄で「湊かなえ」が取り上げられ、推薦図書として協力隊が登場する「往復書簡」が挙げられていた。 ほえ〜あの方はOGさんなのですね。とおどろいてツイッターでつぶやくと読書家のツイ友さんが8年度2次隊トンガ隊員だったという彼女の過去を明かしてくれた。 トンガは協力隊派遣国の中でものどかで、隊員が派遣中に体重を増加させると有名な楽園だ。「告白」の湿度の高い情念満載、七転八倒な作風とスコーンと青い空のトンガはいかにも似合わない感じがした。 その上彼女が本屋大賞の副賞10万円分の図書券を協力隊に寄贈したと聞いて「はて?外務省派遣の協力隊に10万円ばかしの図書券をなぜおくる?」と疑問に思ったところ派遣中隊員の日本語読書への餓えを癒す意図で図書券は本に姿を変えて南の島々の協力隊詰所(ドミトリー)に送られたのであるという。(くわしくはこちら) 協力隊員は普段、地方に分散して基本一人で生きている。何かの行事で首都に上京した時のために詰所(ドミトリー)が用意されているのであるが、そこにある先輩隊員たちが置いて行った古本というのは日本語メディアに飢えた当時の私たちにとって砂漠のオアシスであった。 私も隊員時代、アーヴィングやジェフリーアーチャー、グリムウッドの「リプレイ」、カスタネダの呪術師シリーズとかむさぼるように読んだことを痛むような記憶とともに思い出した。 スコーンと明るい前向きな人で満載の協力隊員の中で情念抱えた湊かなえがにこにこ笑って暮らしていたかと思うと、湊かなえを読むのがまた楽しみになってきた。とりあえず「往復書簡」読んでみます。 ...
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