西方見聞録...マルコ

 

 

ヒックとドラゴン、異文化葛藤と融和の物語、あるいは西洋的自然観にみる「征服」の物語 - 2010年08月08日(日)

 暑いので、2児とともに映画に行く。アリエッティ、トイ・ストーリー3など大人気作の中では比較的おとなしめの「ヒックとドラゴンにいく。(トイ・ストーリーはおKさんが実家でエルザさんに見せてもらう約束だし、ジブリ作品は父親の教育によって子ども達に敬遠されるようになってしまった!でも文句は観てから言うもんだぜ、ベイビー)

 でヒックとドラゴン。

 なかなか深読みするには、よい作品だった。

 私は2つのポイントが心に留まった。(以下ネタばれ注意。これから観にいく人は他のページへGo!)
























 まずは作中のメインテーマである、異文化(異種)間理解の物語。

 これは他者に対する攻撃は他者から攻撃によって応えられ、融和的態度には融和的態度で応えられる。誰しも攻撃するにはそれなりの理由があり、その理由が取り除かれ、互いを理解しあおうとすれば共生が可能である。というシンプルなメッセージ。まあ非常にわかりやすい。

 次にラスト(本格的ネタばれいくぞ!)








 




 ドラゴンが人を襲うところの理由である「女王蜂ドラゴン」を人とドラゴンが協力して倒すことによって、ドラゴンと人は共生への道を歩む。

 この辺の異文化理解というか人と自然の関係の感覚が「ドリームワークスの皆さんの感覚って異文化ね」って感じがした。

 人にとって都合のよい家畜化がドラゴンの幸せか、っていうと、ちがうんでは?

 あんなに怖い女王蜂ドラゴンに何故、小ドラゴンたちは搾取されながら、時には食われる恐怖に襲われながらもともにあったのか。そこには何らかの「ともにある」メリットがあったから小ドラゴンは女王蜂ドラゴンとともにあったのではないのか?

 たとえば、生殖が女王蜂ドラゴンなしにはできないとか。

 「自然」とは征服し、人の暮らしを役立てるためにある。それがラストのバイキング村の姿なのだが、それを「共生」と呼ぶなら、「他者への理解」は自文化への同化を促した上で詠われる自民族にとって都合のよい歌でしかないことになる。

 なんて難しいことも考えましたが、まあ難しいこと抜きにして、なかなかの佳作でした。お勧め。




 



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