正月の読書 - 2009年01月16日(金) 正月ってわけでもないんですが、まあ正月読んだ本の中から。西原理恵子のこの世で一番大事なカネの話。 ううむうう、西原節愛好者であり、都会で働く女性を描くサイバラ節は凄くいろいろと共感するワタクシではあるが、今回、若者への教えとして書かれたサイバラ氏の「地元の描き方」と「都会での成功の陶酔感」の対比に少しだけ苦味を感じた。 地方の疲弊、というのはやっぱりあって、そこでの貧困ということが語られるのだが、そういう一面もあって、それを知るのは大切なことなのだが、「地元に残ることの未来のなさ」を「若者に語りかける」形で全開にされてしまうとやはりツライ。大人向けにいろいろな価値観のひとつとしてそれが提示されるのであればこんなに苦しく感じないのだろうが。 これが「売れる文章」において構築される世界なのだな、と思う。 昔日記でこんなふうに登場したタカオさんの息子さんが昨春大学に進学して村を出て東京に向かった。東京に出て行く息子の背中を見送るタカオさんの複雑な心境のつづられたメールを読んだあとだったので、サイバラ氏の地元と東京の物語が余計のどに刺さる魚の小骨のように感じたのかもしれない。 タカオさんが青春を賭けて掴んだ「足の下の土の価値」は「売れる文章」で表現するのはなんか難しいことだな、と思った。大部分の消費者が都会での生活を選んでいるのであるから。 私自身、大都会のベットタウンでしか生きるよすがを見つけられない人生の進路をたどりながらこんなことを書くのは不遜なのかもしれないけれど。 ...
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