西方見聞録...マルコ

 

 

ネタにしてちょーだい - 2008年01月25日(金)

 「グローバリズムと現代社会」とかなんとか言うお題で通年講義をもっているんであるが、なんかこう、お題からして「アメリカ、わるいやっちゃ」みたいな論調になりそうな講義である。

 デモね、アメリカ人留学生のマーティン君(仮名)がいつも一番前の席でどきどきしながら講義を聞いているので、講師の私もなんていうのアメリカ批判をするときは、一緒にどきどきしちゃうんである。マーティン君は講義後必ず感想を言いに来てくれる。これが日本人学生を含むアジア圏学生諸君とちょっと違うところ。「先生はグローバリズム批判をしつつもちゃんと前向きでえらいですね。他の先生の論調はすごく暗いですよ。」とか他の先生の講義と比較もしてくれる。

 一度講義でパームオイルのプランテーション開発をめぐる参加型の教材を使ったとき、プランテーション労働者の少女ミーナの物語を皆で読んだ。児童労働問題と途上国の安い1次産品の関連を扱ったんだが、このときは友人のマレーシア人留学生の女の子を連れてきてくれて最新のマレーシア労働法では児童労働がかなり厳しく規制されてることなんかを自主的に発表してくれたりもした。

 さて、1年が終わり本日最終講義だったんだがマーティン君は今年限りで学費が尽きたので本国にいったん帰って今度はドイツの日本研究機関に留学する予定だと言う。「それで将来的にはアメリカで日本の現代文化とか日本語を教える大学の先生になりたいんですよね〜」という。だからワタシも「何でそもそも日本をテーマにしたの?」と質問してみると「なんかアメリカ文化から一番遠い気がして。遠くに行きたかったんだと思うんですよ」と流暢な日本語で語る。

 わかるね〜、その遠くに行きたい感じ。そんでその遠くで経験したことを今後飯の種にするんだね。というと「そうそう、先生が突然アフリカを語りだしちゃうみたいに」と言われてしまいました。

 きっと将来、君の「日本文化入門」みたいな講義でフシギな日本の大学文化とか語られちゃって、ネタにされちゃったりするのですな。いいよ、いいよ、ネタにしてちょーだい。


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