西方見聞録...マルコ

 

 

ワンガイ・マータイ博士 - 2004年10月08日(金)

 おおお、ノーベル平和賞受賞!めでたい〜>マータイ博士。

 ケニア在任中は不勉強にも博士の活動を存じ上げなかった。森林省のスタッフとも共同で家族計画普及セミナーとかやったのだが、当時彼女は時のモイ政権に弾圧されていた。

 そして私がマータイ博士を知ったのは、このビデオ「地球白書第4集 大いなる自然の恵み」を教材として専門学校のクラスで見せるようになったから。

 このビデオの中でマータイ博士は、ヨーロッパ向けに輸出されるバラを栽培するために水質が汚れ、さらにバラ栽培ハウスへの灌漑のためにぐんぐん小さくなっていくナエバシャ湖を憂えて「バラは1つの湖とあまたの生物種を滅ぼすほど必要なものなんですか?」と先進国の消費者に鋭く問い掛けている。

 余談だがワンガイ・マータイ博士はお名前からしてケニア最大部族、キクユ族の出身だと思う(キクユの女性はワンボイとかワンジコとかワンが付くのがメジャーな名前)。

 キクユ族は最大部族ながらモイ政権下ではとっても冷や飯食いだった。

 1963年のケニヤ独立時、建国の父ケニヤッタ初代大統領はキクユ族の人だったが、1978年、2代目となったモイ大統領は少数部族のカレンジン族出身で少数部族ゆえ既存大部族の族閥政治に陥らないのではと期待された。しかし初期英明だったモイ大統領は1982年のクーデター未遂事件後、非常に独裁色の強い支配者となり、その結果出身部族のカレンジン族への優遇(公職に付きやすいとか)によりカレンジン族の人口が急増。私がケニアにいた時代に行われた人口調査では国内第4位の大部族になっていた。そんでキクユ族はこの時代とっても冷遇されて、ワンガイ博士が投獄されたりしてたのもこの時代のことだと思う。

 昨年末、四半世紀にわたるモイ大統領時代が終わり、キバキ大統領(キクユ族)が第3代大統領になった。このキバキ政権下でワンガイ博士は副環境相になった。

 随分風向きが変わったのかな〜とかつらつら。

 ワンガイ博士の功績には手放しで拍手を送りたいが、キクユ優遇によって永遠の冷や飯食い第2部族ルオー族や今や大勢力のカレンジン族がむっとしないか、ちょっとだけ心配。

 ワンガイ博士の草の根の活動はこういう部族対立と無縁であってほしいものだが実情はどうなのだろう。ケニアの動き、相変わらず目が離せない。


...



 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail Home