コーヒー屋見聞録 - 2003年12月31日(水) その店は間口がとっても小さい。座れるのもカウンターに5〜6人のみだ。でもなんというか、おじゃる丸に出てくるのマイクさん(コーヒー仮面)の店 と形容すると分かる人にはわかってもらえそうな雰囲気である。 マスターのコーヒー仮面(仮名)は人生の酸いも甘いもよくご存知の町の哲学者っぽい風格の御仁。居合抜きの達人(伝聞)にしてコロンビア勤務経験の父を持つ若妻と二人で店を切り盛りしている。もう一人立ち位置としては客なのだが、店の労働力として欠かせない人がいる。生後3ヶ月のコーヒー仮面(仮名)のご子息の子守りをする元日経記者にして現在謎の活動に余念のない世捨て人のAさん(仮名)。その他ときどき変な同伴客を連れてやってくるジンバブエ文学研究者のコナン女史や町の百科事典タイゼンさんなどいろいろな常連客が出入りしている。 やはり特筆すべきはご隠居様である。ご隠居様は毎日必ず店にやってきて含蓄のある言葉をつぶやきさっていく。ご隠居が店のドアを開けると、客たちは静かに移動し、一番奥のご隠居の席を譲る。ご隠居の専門は日本酒なので日本中のどこ蔵でどんな酒を作っているかをつぶさに悉く知り、そして彼はまた歩く雑学辞典である。 ある日ご隠居は「そば」について語る。 隠「そばってのはあの形態になったのは比較的新しい江戸中期のことなんだ。それまでは麺状になってなくて“そばがき”にして食べていた。ところがそこんとこいくとうどんは古い。なんてったって弘法大師のころに出来たんだ」 一同「へ〜」 隠「空海(食うかい?)ってね。」 一同「、、、、(凍る)。」 隠「じゃ、またね。」 そういってご隠居は夕暮れの町へと去っていった。 (一部伝聞を含み、マルコが再構成しました) ...
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