アラン・リーのスケッチブックを一冊にまとめた本。鉛筆だけで描かれたイラストは、本の挿絵の下書きだったり、映画のためのデザインだったりします。濃淡で陰影をつけただけのスケッチが、どうしてこんなに美しいのでしょう。絵を描いたことのある人は心当たりがあると思いますが、下書きのときのニュアンスがペンを入れたらなくなってしまうことがあります。一本にしぼった線は力強く迷いがないけれど、下書きの線には、絵を描く人のいろいろな思いや時間や描いているときの空気のようなものが残っています。アラン・リーのスケッチブックは、その上、ミドルアースへの入り口でもあります。原作を読んで想像した世界が、確かなデッサンで、鉛筆の下絵の中に息づいています。映画のダイナミックな世界も楽しかったですけれど、この本の中には原作により近い指輪の世界があるような気がします。序文はガンダルフを演じたサー・イアン。映画のエンドロールのイラストからはガンダルフとガラドリエルの絵が収録されています。
The Lord of the Rings Sketchbook http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0618640142
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