劇場公開版とSEEのDVDを比較して、SEEの方が素晴らしいというご意見が多いけれど 私はひとつだけ気になったことがあった。 それは、ガンダルフがモリアに入る前にフロドに、ボロミアについていう場面。 ガラドリエルが水鏡のところで言うのと同じように ボロミアに用心しろ、というようなセリフが入る。 SEEのコメンタリーを聞いていても、ボロミア理解は一本にまとまっているわけではなくて、 「指輪の魔力に負けてしまったボロミア」という面からみている人がいるようだった。 「指輪に負けたけれども、それすらも魅力のひとつ」として見ている人もたぶんいるのだろう。 映画の中のボロミアはこのふたつの間を行き来する。 劇場公開版では、かなりプラス面が出ていたが、日本語字幕は完全に悪役方面にとっていた。 それも今にして思えば、映画の製作者達自身が揺れていたせいではないかしら。 SEEでは良い面も増えたが、悪い面も同じくらい加わった。
『二つの塔』では、サムのセリフに「負けてしまったボロミア」が出ていた。 あれはちょっと聞いていて悲しかった。 脚本を担当した三人の誰がどういう意見だったのか? 映画を見ている私たちにはわからない。 かなり腐女子的感覚を持つと思われるフィリパが「ボロミアの魅力」をひきだしたのだろうか? しかしPJの『乙女の祈り』の脚本もかなり良いできだった。フランもわかってる感じがする。 やはりPJと女性ふたりの間の綱引きか?プロデューサーのご意見がところどころに入っているのか? これだけの大作をひとりの感性でひっぱっていくことは、きっととても難しいことだろう。 しかし、できるだけ頑張って、素晴らしい作品にまとめてほしいものだ。
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