2005年04月21日(木)
古い菓子箱にフィリピン沖で戦死したじぃちゃんからの手紙をいっぱい詰めて
それを物珍し気に我先に読み漁る小学生の頃のオレら、歴史の重みをひしひしと感じた気がして
『スゲー!こんな古い手紙とかよく取っちょったねぇ!』
と感慨の声を上げたならば照れ隠しなのかステップ(!)を踏みながら
『だってばぁちゃん、じぃちゃんの事 あいしてるもーん!』
って、田舎の小学生のちびだったオレらに【愛してる】の言葉は正に絵空事のようで
それをサラリと言ってのけるばばぁが物凄くカッコ良く見えたものだけれど
そのばばぁがここに来てガツリと混濁状態に陥った模様。
お医者の言う『この数値で意識があるってのも不思議なんですよね』なんて
そんな台詞に『やっぱばばぁだね!』とか冗談めかして妹ちゃんと言ってたけれど
さすがに 何度も繰り返してる混濁状態の最中、看護婦さんから神妙な面持ちで
『会わせたい方がいらっしゃるのでしたら今のうちに会わせた方が』
なんて言われると イワユル危篤状態ってのに慣れっこになっていたママ上と妹ちゃんですら
間違いなくオレの想像の範疇以上にショックがでかいんじゃねぇかと思う次第。
どうすんのかな、オレ 帰るのかな、どうすんのかな。
ヒトゴトじゃねぇよ!とか 帰った方がいいに決まってっだろ!とか
当たり前のような台詞が頭の中でグルグルしてはいるんだけれども
これで帰るとわざわざ【最後のばばぁ】を見に行くようでめっさ複雑。
もしもの事があった場合、ホラ帰っとけば良かったでしょ!会っときゃ良かったでしょ!
そう思うに違いない、違いないのはわかってんだけど
何だかな、オレが帰ってばばぁの病院に顔を出しても
きっとばばぁはオレがわからない、つーかわかった瞬間に忘れてしまう。
オレ、ひどいなぁ そんなばばぁを見たくない気持ちが目一杯あんの
それを毎日見てる妹ちゃんやママ上の気持ちを考えたらこんな事言っちゃ駄目なんだけど。
もしも週末にでも宮崎に帰るとして じゃあ荷物はどうすんの?
もしもの時の為に喪服とプレーンな黒ヒールを持ってくの?
そんな事を思った瞬間に『だ、大丈夫でしょ別にっ』的な考えが浮かんできて
オレを緊急里帰りの考えからすげぇ勢いで遠ざける。
これも一種の現実逃避なのかしら。
今すぐ電話が鳴って『ねぇちゃん、ばぁちゃん平気みたい』とか
妹ちゃんがゲラゲラ笑いながら言ってくれればいいのに。
|
|
|