【復活!】ダイエットなDIARY
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2001年03月03日(土) ビジネス・シートと映画と熱さ

前回、フライトの話を書いてしまったので、今回もその続編を書く。

帰りの飛行機はビジネスだった。
空きのあるときには航空会社がチョイスして、数人をビジネス・シートにしてくれることがあるという。
それに選ばれたらしい。
今回はラッキーだったのである。

ビジネス・クラスは楽である。
そもそも座席の広さが全然違う。
エコノミーの3席分のスペースに2席しかない。
おまけに、客を詰め込まないからその2席もひとりでつかえる。
そもそもあの広いビジネス・エリアには客は10人ほどしかいないのだ。
ガラガラである。


まず、離陸してしばらくするとオシボリをもったスチュワーデスがやってくる。
しかも心なしかエコノミー担当よりも若くて美人である(笑)。
その後、サービスは飲み物へと続く。

機内食にも選択肢があり、まず洋食か和食かを選ぶ。
次に、たとえば洋食ではその中のメイン・ディッシュを肉か魚かを選べる。
コースになっているので、食前酒、前菜、サラダ、メイン・ディッシュ、デザートと順番に出てくる。
最後にはチョコレートとコニャックまで出てくるのである。
当然、ワインも銘柄を選べる。
レストラン並である。

モニターも肘掛の中から出てくる。
そして、おそらくはDVDなのであろう、再生や一時停止などの操作が可能なのである。
で、各席には枕や毛布の他、歯磨きや歯ブラシなどのサニタリー用品までついてくる。
さらに、なんとスリッパも常備されている。
携帯用スリッパの出番はなかったのである。
つうか、ビジネスなら最初から必要なかったのである。
くそう。知らなかったゼ。

トイレに行くときにエコノミーの方をちょっとのぞいてみたが、そこは相変わらず満杯に客が詰め込まれていた。
なんという差なのであろう。

ロンドンから成田まで約12時間ほどのフライトである。
最近、エコノミー・シートで長時間過ごすことが精神的・肉体的にあたえる悪影響が医学的にも指摘されている。

サービスを差別化するのはいいが、エコノミーの座席の狭さは何とかすべきである。

しかし、ビジネスであろうが、やはり機内では眠れない。
そこでまた映画を観た。
『シャフト』と『ホワイトアウト』だ。

『シャフト』は黒人の黒人による黒人のための映画だ。
それほど面白くもないが、つまらなすぎるほどでもない。
派手さはないが、地味すぎるほどでもない。
脚本も、目新しさはないが、下手な作りでもない。
と、いうカンジの映画だ。

問題は『ホワイトアウト』である。
これはイヤイヤながらやっと最後まで見終えた。
何がダメかというと、これがパクリ映画だからだ。
ダイハード1、2、3のいい場面だけ抜き出して舞台と俳優をかえて、日本的なお涙頂戴主義を足して割った様な作品である。
よく恥ずかしげもなくこんな全編パクリ映画を作れるものだ、と別の意味で感心した(笑)。
お金と時間の無駄である。
劇場に観に行かなくてよかった。
飛行機の中という限定された状況でなければ決して見なかったであろう。


話が映画のことになったので、もう一つ。
今日、ビデオを借りてきた。
『アナザヘブン』『マーシャルロー』『ビッグムービー』の3本である。
どれも最新作ではないので1週間レンタルが可能である。

で、先ほど『アナザ〜』を観終えたところである。
これが、面白くないのである。
何故面白くないかといえば、原作に忠実過ぎるのである。
もっとも原作者と監督・脚本が同じ人なので当たり前であるが、そして時間の制約上、若干のはしょりなどもあるのだが、基本的に原作と同じと考えてよい。

映画自体の出来が悪いわけではないし、役者も、原田芳雄をはじめ、結構頑張っていて完成度は高いのであるが、原作を読んだ者にとっては何の驚きもない。
活字が映像になっただけである。
しかも、最後の方では、作品のメッセージを登場人物がセリフにしてしまっている。
原作では、そうした哲学的な部分を書き込むことができるが、それを映像にした場合、たんなるセリフとしてしゃべらせてしまってはいけない。
映画には映画の文法や言葉がある。
それなりの新しいエピソードや場面として表現されるべきものである。
そのためには原作などいくらでも逸脱してもかまわないのである。
もっといってしまえば、原作と映画は別の作品であってもよい、いや別の作品であるべきなのである。

原作をもとにどれだけ飛翔することができるか。
それを期待していた。
だから原作に忠実すぎる映画は、原作を読んだ者には意味はない。

邦画のつまらなさはどうにもならないのだろうか。


しかし、邦画が面白かった時期もあるのである。

最近、BSで午後4時というヤクザな時間に小林旭の「渡り鳥シリーズ」をやっている。マイト・ガイ旭である。
ギターを持った流れ者が活躍する映画である。
いわゆる無国籍映画とか呼ばれるジャンルであり、馬にのっていたり、拳銃をぶっ放したり、馬車が襲われたりする。
「60年代の日本を舞台にした西部劇」というカンジだ。
この前は、あるシーンで、どこの豪華ホテルのラウンジかと思わせるセットで、その設定はユースホステルだった(爆)。
この辺のめちゃくちゃさが好きである。
映画界が威勢のよかった頃、邦画もとても面白かったのだと思う。

高度成長で人々にもやる気があった時代、日本映画は面白かったと思える。
なんか、「熱い」のだ。
その熱気が、飛翔のための原動力だったのではないかと思う。
熱さが面白いものを作り出していたのだ。
日本社会は今ではすっかり冷えてしまったのだろう。


チョウ・ユン・ファなどのでる香港映画が現在でもこういった勢いがある。
中国と英国の狭間で社会的矛盾が噴出している。
最近では、韓国映画が面白いらしい。
南北に分断されている国である。
これらの国や地域は、たぶんまだ「熱い」のだろう。


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