2000年10月19日(木)
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君は、バカの涙を見る
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バカが、「ドラゴンボールZ」、と言おうとしていた。
「ドラゴン…あれ…?
ドラゴン…ボール…ドラゴンボール…… ゼータ 」
違う。
「ゼータ・ガンダム」好きの私は、とりあえず奴を叱ることにした。
ばん!(机を叩く音)
「それはガンダム! ドラゴンボールは、ゼットだろ!」
事件は解決したかのように思われた。
しかしバカはバカだった。
「ドラゴン…ドラゴンボー…ル、ゼータ 」
ばん!(机を叩く音)
「だから違うって!!
あんなに楽しみだった毎週水曜日を、
どうしてお前は言えなくなっちゃえるんだ! この…バカ!」
「でもだって、ゼータでしょ?」
「ゼット!」
「ゼータだよ!」
「ゼット!」
「ドラゴンボール〜♪ ゼータ〜♪ ほら!」
「なに、その知らん歌は!?」
戦いはおよそ、十五分間ほど続いた。
ってかこいつはなんで、こんなに明らかに間違ってるのに、
こんなに自信ありげなの?
しかもこいつはなんで、どう考えても間違ってるのに、
こんなにまでも気付かないの??
最終的に我々は、「たっちゃん」に判定をゆだねることにした。
しかしここで、バカは偉そうなまま、及び腰になる。
「聞いてきなよ…。私はここでこっそり見てるから」
「なんでだよ! 自信があるなら来い!
…ほんとはお前、気付いてるんだろ。自分は間違ってるって!」
「ま、間違ってないもん! 聞いてきなよ、ここから覗いてるから!」
そこへ、急転直下の場面展開。
バカの真後ろから、たっちゃんが悠然と歩いてきたのだ!
私はバカの腕を捕まえてすかさず報告。
「たっちゃん! こいつ、ドラゴンボール、ゼータだって言うんだよ!」
「ん? ゼットだよ」
バカ、敗走。
「ち、違う…。
きみたちが二人で間違ってるんだ〜!」
ダッシュで消えた。こいつ、去り際だけは鮮やかだ。
「出来る…!」
たっちゃんも嘆息。