ビー玉日記
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2005年08月18日(木)  月夜の物語

十三夜の月の光が澄んで見えた。
満月もいいけれど、なぜか少しいびつなこの月にもひかれる。
見ているといろんなシーンが頭に浮かぶ。
イマジネーションをかきたてる月。
これから満ちていこうとする月の力なのか。

月の明るさと夜空の深みを見ると、
少しずつ秋に向かっているのがわかる気がする。
来月は中秋の名月。



宮が職の御曹司にいらした頃のこと。
8月10日過ぎの月の明るい夜、
宮は右近の内侍に琵琶を弾かせて、
廂近くにいらっしゃる。

他の女房たちはおしゃべりして笑ったりしているのに
私一人が廂の柱に寄りかかって物も言わずに控えていたら、
「今日はどうしてそんなにおとなしいの?
何かしゃべって。なんだか物足りないじゃないの」
と宮がおっしゃるので、
「ただ秋の月の心を眺めているのです」と申し上げた。
宮も、「そうね。この場にぴったりの台詞だわ」とおっしゃる。

『枕草子 森崎流』


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