ビー玉日記
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2004年08月15日(日)  なんでもない一瞬

印刷会社で働いていた頃、特攻隊員の戦時中の日記を本にしたことがある。(いわゆる自費出版)
本が出来上がった時に作成者の特権で余ったものを一冊手元にいただいた。

休日を終えて夜のニュースで終戦記念日の話題を見て、ふとその本のことを思い出して久しぶりに手にとった。

新撰組の近藤勇や土方歳三が私と同年代で国のことを考えてあれだけの行動を起こしたことにも驚くけど、特攻隊員はそれよりももっと若かったりする。
いわゆる学徒動員の学生が多いから、20代前半で、誇らしげに胸を張る写真はどこか子供っぽさの残る顔ばかり。
結末を知っている私が見るとどうしてもマイナスな感覚でとらえてしまいがちなんだけど、彼らにしてみれば、オリンピックの選手に選ばれたくらい名誉なことだったんだろう。

この中で私が一番好きな写真は、出撃前のつかの間の休日に散髪をする場面。
上官らしき人物に坊主頭をそってもらっている男の子と、何か冗談でも言ったのかその横でおかしそうに笑っている男の子。
戦いに行っている人にもそんな時間があったんだなあと思う。
こんな風に笑っているいい人たちがやはり家族や友だちのいる誰かを殺すために戦わなければならないことが戦争の最も悲しいところだ。

まだイラクでは戦いが終わっていない。
地球上の誰もが、愛する人と時間を過ごし、笑ったり泣いたりしてなんでもない瞬間をたくさん積み重ねていける日がやってきますように。


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