ビー玉日記
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2004年06月05日(土)  Beautiful Dreamer

先日、大学の就職活動準備の時期に受講していたセミナーの課題作文が出てきた。
添削してコメントを書いてくれたのは元・某大手出版社の編集者で、自分の文章が人にどう読まれるのか客観的に知ることのできるいいチャンスだった。

5回分の作文はどれも割といい印象で見てくれたらしく、そう厳しいことは書かれていない。
さすが編集者らしく、指摘は的確にポイントを突いていて「なるほどな」と何度もうなずくようなことばかり。
その中に、「素直な文章で好感はもてるけどインパクトが弱い(=個性不足)」というコメントが、言い方は違うけど2回出てくる。

確かに就職試験ということを考えると「目立つが勝ち!」なので、いかに人の心に強く印象を残せるかが大切なのだ。
当時出版社への就職を考えていた私は、それを読んで、漠然と「出版社に行くのが自分にとって本当にいいのか」と疑問に思いはじめ、最終的には少し方向を変えて印刷会社への就職を決めた。

(それがいい選択だったかどうかはさておき)結果的には出版社にかじりついたりしないでよかったと思っている。
仕事で文章を売り買いするようになったら、書くことを嫌いになったかもしれないと思う。
当時の私はなんとなくそう感じたから方向転換をした。
編集者になったら、仕事用の文章はうまくなるかもしれないけど、こんな風に自由な文章を書くことはなかったかもしれない。
今の自分が仕事以外のところではなるべく仕事から遠くはなれていたいと思うように、仕事以外で作文したいとは思わないかもしれない。
今となっては全てが「かもしれない」だけど。

私は自分の文章にインパクトを求めない。
物語にも突飛なシチュエーションやぶっとんだ登場人物はなるべく書かない。
基準は自分自身だから。
物語の世界に自分が入れないようなものは作れない。
自分の知らないことを書いたらいかにも嘘だから。
強いて言うなら、個性がないことが私の個性なのかも。
みんなの中に埋もれてわからないように隠れていられるのが、得意技。

文章でお金をもらうことはなくても、たぶん私は一生夢想することをやめないと思う。
「ああだったらな」「こうだったらな」「もしもあの時こうしてたら……」って考えるの好きだから。


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