ビー玉日記
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2003年09月24日(水)  珍道中

今日は出張。
一日雨が降っていた。

最寄り駅からタクシーに乗り込んで、「××の倉庫まで」って言ったら、運転手さんに、
「最近ドライバーをはじめたばかりでわからないので道を教えてください」
と言われた。
うーん。まだ一度しか行ったことないからわかんないよ。
普通「××の倉庫」で通じるから、住所も控えてきてないしさあ。
「じゃあいいです」って出ようかなと思ったんだけど、運転手さんが仲間の運転手さんに聞きに行ったので、時間も余裕だし、まいっか、とそのまま腰を据えてしまった。

時折地図を見ながらのやや不安な道中。
途中で左折したら、どんどん細い道に入ってしまった。
こんなとこ通ったかなあ、と思うものの、高いビルじゃないし、目印は何もない。
結局運転手さんは車を止めて、通りがかった自転車のおばさんに聞きに行った。
「だ、大丈夫でしょうか?」
私は同行の男性と顔を見合わせた。
「いやー、おもしろいね」
と彼はおもしろがっている。
この人がイライラしてたらドキドキしちゃうけど、そんな反応ならいっか。
まだ時間あるし。
更に進むけど、まだ抜けられない。
また小さな工場の前で車を止めて、そこの人に道を尋ねに行く。
そうして、ようやく見覚えのある倉庫にたどりついた。
10分で着くところが30分もかかったけど。

「とんだ珍道中になってしまってすみません」
ひたすら恐縮の運転手さん。
「料金、引きましょうか」
同行者が笑ってお金を差し出した。
「いやあ、おもしろかったからいいですよ」

おもしろかったから、っていう言い方もおもしろいけどね。
自分で「珍道中」って言うところがおかしかった。

不況で会社がつぶれたり、リストラにあったりで、タクシーの運転手ビギナーの人が増えてると思う。
この人がそういう人かどうかは知らないけど、なんとなく定年間近の父と重なって他人事とも思えないんだよね。


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