| ビー玉日記 | きのう もくじ あした |
2002年12月16日(月) 舞台裏にて 楽器をやっていた頃、本番前の舞台裏の空気が好きだった。 不思議と私の記憶は、ステージ上よりも舞台裏の方が鮮明だ。 たぶん、ステージに立ったらもう無我夢中だから、記憶に留める余裕がないんだろうと思う。 もちろん実際に舞台裏で本番を待つ間は、とてもそんな穏やかな気持ちじゃいられなくて、とにかくつらい。 不安と緊張で、お弁当もほとんど喉を通らなかったのに、それでも気分が悪くなってくる。 逃げられるものなら逃げ出したい。 先に舞台に立つ人たちの奏でるメロディーがカウントダウンの調べとなる。 先輩や友達と「大丈夫だよ」とお互いに声をかけ合い、手を握る。 どうでもいい話やつまらない冗談でこっそり笑う。 そうやって気を紛らすしかなくて。 いよいよステージに出る直前、私は必ず薄暗い天井を見上げた。 いくつもの黒い鉄の支柱が剥き出しで交差する、高い天井を見上げて、深く息を吸う。 そうするとなぜか落ち着ける気がした。 月曜日は、オフィスの前の廊下であの時と同じ気分を味わう。 怠け者の自分に鞭打ち、上を見て深呼吸。 さあ。今日も楽しく働こ。 そう気合を入れてドアを開ける。 |
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