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白装束の団体が林道占拠 - 2003年04月29日(火)

学生時代、中野武蔵野ホールで見た「リーガルエイリアン」と言う日本映画があるのだが、日本映画のくせにセリフが殆ど英語と言う映画で、当然字幕入りだった。この映画は二度見たのだが、二度目に見たのが最終日で、収容人数が70人超の武蔵野ホールはほぼ満席の盛況だった。

この映画は日本に合法的に働きに来ている外国人(legal alien)を描いたモノで、主人公は売れない役者で日本の大学で英語講師をしながら働いているアメリカ人である。東南アジア人などと異なり、欧米人は色々優遇されるのか、ハッキリ言ってあまり不自由しない生活を送っている訳である。これが彼らにとって、どうも生ぬるく感じられる日々で、そこに描かれているアメリカ人たちは、自分の中の熱いものを出せずに中途半端に生きていると言う風情である。

良く分からない感覚だが、あまり不自由なく暮らせて、特別努力を重ねる必要もないと言うのは、精神的にあまり健康的な生活を送ることが出来ていないとは理解できる。日本に来ている欧米人でこのような感覚を抱いている人は多いのか、マイナーな映画でも在日欧米人の間でそれなりに人気が出たようだ。まあ、広範囲な人気ではないと思うが。

キャストとしては有名人はクリス・ヘプラー(この人は日々をダラダラ過ごしている役割じゃない)くらいで、あと主人公のアメリカ人はCMとかに出たことがあったり、たまにバラエティーに出たりしている人だったと思う。日本で演劇の先生をやっているだかで、実際の自分と役どころがかなり似ている。

さて、ようやく本題に入るが、この映画の中で一人、日本に暮らすことによって神経衰弱みたいになってしまった、カービーと言うアメリカ人がいる。彼は「日本人は日本にいる外国人を洗脳するために、富士山の上から電磁波を出している」みたいなことを言い、「電磁波を避けることが出来るのはアルミホイルであることを突き止めた」みたいに言いながら、自分のかぶっている帽子の中をアルミホイルで包んで、日本人による外国人の脳への電磁波洗脳攻撃から身を守ると言う毎日を送っている。

ある日、カービーに助けを求められた主人公は、彼の家に呼ばれる。部屋に入ると全ての壁がアルミホイルで覆われていると言う、高校の文化祭で作るミラーハウス(そんなもの作ったこと無いが)のような状況になっており、中にはおびえた彼が待っている。彼が主人公に頼みたいのは、部屋にある電磁波発生装置(テレビなんですけどね)をアルミホイルで包むと言うモノで、

「電磁波透過をシャットアウトしたぞ!」

と、ヤケクソ気味に言う主人公に、カービーが「よっしゃ!」を連呼する。

まあリーガル・エイリアン自体、これがメインの変な映画という訳じゃないのだが、「母国から遠く離れて、あまり苦しくない生活を送っている外国人が、精神的にちょっと追いやられる」と言うのを描いているワンシーンであると思う。

で、更に本題の本題に入るのだが、現実世界において標記「白装束の団体が林道占拠」と言うニュースが私の目の端に入ってきた。何でも彼らは「有害な電磁波から身を守る」と言う目的のもと、電磁波の透過を防ぐと言う「白い布」で全てを覆おうとしているらしい。林道に白一色の車を止めて占拠し、林道を通る人間に対して検問まで張ると言う始末で、住民から不安の声が出てきたと言う(そりゃ不安だよな)。

私はこのニュースを見て、全く笑止千万だと思った。この世の中は病んでいると思うが、失礼だがこんなことを考える奴がいるなんて、最早この世の終わりだとすら思ったのである。そう、ここまで長々と書いてきた前振りを読めば、少なくとも賢明な人ならすぐに気付く筈である。

電磁波を止めるのは白い布じゃなくてアルミホイルだというのに...

いや、そうじゃなくてだな。


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