蹴文修記

2006年11月11日(土) FC東京×川崎フロンターレ

これがダービーと呼ばれる試合なのかな、って感じた。

多摩川を挟んで向かい合うFC東京と川崎フロンターレ。
JFL時代から熱戦を繰り広げ、共にJ1に昇格する。
その後川崎はJ2に陥落するも、復帰を果たした昨季
以降の対戦成績は互角。

東京はナビスコカップを獲得し実績の上では先行。
川崎は今季、シーズン当初から優勝争いを演じている。
しかし両チームがピッチで向かい合った時、過去や現在の
順位は関係なく、常に熱い戦いが繰り広げられる。

東京と神奈川の県境をまたぐものの、サポーターの生活圏
はかなりの部分で重なっている。同じ電車で同じ方向に帰る。
対峙するチームを応援する友人は近くに住んでいる。

勝ったほうのサポーターは意気揚々と電車に乗り込み、
負けたほうは恨み言のひとつでも呟きながら家路を急ぐ。
これがもダービーが盛り上がる大きな要素。

情けない試合して負けたりすると、下手したら自宅近くの
駅まで、相手サポーターを顔色を伺いながら帰らなきゃ
いけない。これは本当につらいのだ。
当然、選手も移動の負担が少ないわけだから、共にアウェー
であることを言い訳に出来ない。だから試合はより白熱する。

リバーサイドダービー? やっぱり多摩川ダービーという
呼び方がしっくりくるかな……。

今日の試合は、前半、川崎の持ち前の攻撃力が、ちょっと
勇気のなかった東京の守備陣を切り裂き、得点を重ねる。
優勢に立った時の川崎の攻めは素晴らしく、ワンタッチ、
ツータッチでどんどんボールが回り、ゴールを狙うかと
思いきや、スピードの乗ったドリブルでDFを振り切る。

でもこのまま終わらないのがダービー。

後半開始直後に3点差をつけられた東京は、泥臭いゴールで
1点を返し2点差に。川崎に退場者が出て数的優位に立つと
その勢いは加速する。スイッチが入った東京は止められない。
特に攻撃に人数をかけてリスクを取る攻撃ではないけれど、
一人ひとりの前に向かう圧力は驚異的になる。

優勝争いに絡んでいる川崎は、勝ち点を確保したいという
妙な計算も働いたのだろう。未体験の領域にいる選手たち
には酷だが、東京は計算して戦える相手ではない。
つい3週間前にはG大阪もその餌食となっている。

経験していないプレッシャーが、選手たちの足を止めて
いたのも事実。実際、得点を重ねていた前半でさえ、
ゲーム内容は決していいものではなかったから。
普段なら、退場者がひとり出ている場面で、遅延行為と
見られるようなプレーはしないだろうし。

終盤、2人目の退場者を出した川崎はなすすべなし。
長いロスタイムに同点弾と逆転ゴールを許し、
劇的な幕切れを迎えることとなった。

**

と、まあ、自分の応援するチームの負け試合を中立視点で
書くのは難しいですな…。



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