| 2006年02月02日(木) |
龍時01-02【ネタバレ注意】 |
今さらながら「龍時01-02 野沢尚著」読了。 これから読もうと思っているひと、 もうあんまりいないかもしれないけど、 ネタバレに注意してください。
主人公のリュウジは無名の高校生。 U17スペイン代表との親善試合に高校選抜と して急遽召集されたことをきっかけに、 スペインへのサッカー留学、現地トップ チームまで這い上がって行くというお話。
普通ならシンデレラストーリーなんだけど、 サッカーで生きて行くことの厳しさや 夢だけでは登って行けない現実との戦いが 綿密に描かれている。
どのサッカー選手も、ピッチの上だけではなく、 家庭環境やチーム内での人間関係、契約問題、 海外に出たらそのナショナリティと戦って いるんだと再認識させてくれる小説だった。 テレビや新聞、雑誌で海外で活躍する日本人 選手の動向が報道される。試合に出れた出れない、 ゴールにからんだ途中交代した・・・。 そんなのはその選手のほんの一部だと。
プロの選手である限り、ピッチの上での結果だけ が求められ、報道する側もそこに焦点を当てる。 当然のことだけど、その裏側には何倍もの 苦しみや努力があるんだよ、って考えさせられる。 テレビ見てああだこうだと酒飲んで騒いで楽しむ エンターテイメントとしてはうわべだけでいい とは思うんだけれど・・・。
リュウジのように、無名のうちから海外に行って、 戦っている選手ってどれくらいいるんだろう? 僕らが知らない原石みたいな選手はたくさん いるんだろうな〜。
リュウジは最後にナショナリティの壁にぶつかる。 僕らは国を背負って生きているつもりはないけれど、 代表戦前には君が代を唄う。 五輪では日本代表を応援し、格闘技でも日本人の 戦いにはなぜか知らないけれど力が入る。
どこで刷り込まれたんだろう? 記憶している限り、あなたは日本人ですよ、国を 愛さなければいけませんよ、日の丸にはあなたたち の魂が宿っていますよ・・・なんて教育は受けた覚えはない。 それどころか、排他的な考えには反発すら感じる。
でもスポーツの舞台はもちろん、日本語が通じない ところに行くと、自分は日本人であり、普段は思うこと もない誇りを感じてしまうことがある。 不思議だね。ナショナリティって。
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リュウジの父親。 一応はライターであるという設定。 リュウジにサッカーを教え、独自の世界観を植え付け、 でも多分稼ぎがなくていろいろあって嫁には家を追い出され、 それでもリュウジを見守ってはいるんだけど、最後には ダメ人間として我が子を利用しようとする。
本編には描かれていないんだけど、多分最後の場面には 様々な葛藤やウラがあるんだろうな・・・。 このストーリー、父親を主人公にした物語も面白いかもね。 少なからず、僕は自分の姿を投影してしまう(苦笑)
この小説を読んで、リュウジではなく父親に自分の 姿を見てしまうなんて・・・歳とったんだなぁ・・・。
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話は変わるけれど連載中のキャプテン翼。 あまり面白くないよね?
連載再開当初はワクワクしながら読んでいたんだけど、 現実が物語の世界に追い付いているのか、昔のような 「この先どうなるんだろう?」「どこまで行くんだ?」 って期待感があまり持てなくなっている自分がいる。
昔は、サッカーで世界と対等に戦うなんて夢物語だった。 ワールドカップはまるで別世界の出来事。 でも今は、現実的ではないにしても優勝は夢ではない。 チャンスはあるのだから。
鉄腕アトムはまだ生まれていないけれど、翼は現実と して存在していてもおかしくないからね。 だから妙に現実感があって・・・楽しめない。仕方ないのかな。
そりゃスカイラブハリケーンとかできないし、 タイガーショットでネット突き破ったり壁に穴を開ける 日本人はいないけどね(笑)
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