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 ミシシッピがくれたもの/リチャード・ペック

『ミシシッピがくれたもの』/リチャード・ペック (著), 斎藤 倫子 (翻訳)
単行本: 256ページ
出版社: 東京創元社 (2006/4/22)
ASIN: 4488019439 サイズ (cm): 19 x 13
内容(「BOOK」データベースより)
15歳のとき初めて父の故郷を訪れた。ミシシッピ川を見下ろす岩だらけの丘にある歴史と謎の重さが宿る家に祖父母と大おじ・大おばの4人が住んでいる。祖母がわたしに少女時代の思い出を語りかける。そしてわたしは、南北戦争にまつわる思いもかけぬ事実を知ることになった―。秘められた歴史を題材に、アメリカの深部に迫った感動の物語。



リチャード・ペックの『ミシシッピがくれたもの』というヤングアダルトの本だが、南部の話かと思ったら、ミシシッピ川を挟んだミズーリ州とイリノイ州の話だった。

これまで読んできた南部ものは、南北戦争があれば必ず南軍のほうの話だったが、ここではちょっと微妙。イリノイでは、南軍の味方をするものもいるにはいるが、ほとんどが北軍の味方で、従軍するとすれば北軍にというのが大部分。

そこに、ニューオーリンズで白人と黒人奴隷との間に生まれた特殊な人種である女性たちがやって来て、戦争が始まったためにそこに足止めされるのだが、そこでドラマが生まれるというわけだ。

たしかにニューオーリンズを舞台にした小説の中に、そういう人種がいることは書いてあった。フランス人の血を引く彼らは皆美しく、女の子であれば、ニューオーリンズに留まって、やはり白人に庇護してもらい、男の子はだいたいがフランスに渡るらしい。いかにもフランス人らしいやり方だと思うけれど。

南部、特に白人の上流階級の社会では人種差別が激しく、黒人の血が少しでも混じっていたらダメというところがあって、どんなに美しくても、白人と普通の結婚はできないとか・・・。今はいくらかましだろうが、当時はどれほどの差別だっただろうか。

当時のミシシッピ川周辺の様子(『ハックルベリ・フィンの冒険』のような感じ)もよくわかり、最後は、え?と思うような結末になったりして驚きもあるのだが、全体としては今ひとつ物足りない感じが残った。ヤングアダルトものだからということでもないとは思うけれど・・・。日本語のタイトルもあまり適切ではないかも。

2006年10月10日(火)
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