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 グリーン・ノウの子どもたち/L.M.ボストン

『グリーン・ノウの子どもたち 児童図書館・文学の部屋 グリーン・ノウ物語(1)』/L.M.ボストン (著), 亀井 俊介 (翻訳)
単行本: 254 p ; サイズ(cm): 21
出版社: 評論社 ; ISBN: 4566010007 ; (1972/01)

※画像は原書 『The Children of Green Knowe (Green Knowe 1) 』/L. M. Boston

訳者あとがきより
『グリーン・ノウの子どもたち』は、7歳の少年トーリーが、たった一人で汽車に乗り、イギリスの田舎にあるグリーン・ノウという屋敷を訪ねるところから始まります。少年の両親は遠いビルマに住んでおり、おまけにお母さんは二度目のお母さんで、どうしてもなじめず、少年は、学校の校長先生の家で、さみしい毎日を過ごしていました。ところが、今度の冬休みを、死んだ本当のお母さんのおばあさん、つまり大おばあさんのもとで、過ごすことになったのです。孤独な少年の不安と期待は、この新しい場所で、どのような運命にあい、どのような喜びをつかみ、またどのような悲しみを味わうことになったでしょうか。それを物語ったのが、この小説です。

まず少年の心を打ったのは、グリーン・ノウの家の、暖かく、落ち着いた雰囲気です。古いお城のように、がんじょうな石ででき、しかも大きな暖炉や、明るい窓があり、不思議な飾りもたくさん置かれていて、少年はどこか夢の世界に入り込んだような気がします。

それから大おばあさんのオールドノウ夫人。顔はしわくちゃで、全身が縮んで、トーリーより小さくなってしまったこのおばあさんは、「こわいくらい年をとっている」はずなのに、優しく、元気で、いたずらっぽく、たちまち、トーリーの「遊び友達の男の子」のようになってしまいます。本当は、この大おばあさんもまた、子どものときに両親と別れてしまい、寂しく育ったのです。ですからこぞ、トーリーの気持ちを、黙ったままでも、すぐにわかってくれるのです。

この、心なごむ家と、心親しむおばあさんとを得て、少年は、自分がグリーン・ノウの子どもであることを感じ、生きていることの楽しさを味わいはじめます。しかし、物語は、じつはここからが本筋なのです。グリーン・ノウの子どもになったトーリーは、この家に300年も前に生きていた子どもたちと、しだいに友だちになっていくのです。そんなばかなことはあるものか─と、この本を読んでいない人は思うかもしれません。しかし、美しく純な心は、時間の隔たりを越えても、互いに親しもうとし、ついには一つになってしまうものだということを、この本は生き生きと、またごく自然に、語ってくれるのです。


『グリーン・ノウの子どもたち』は、1954年に出版されました。作者のルーシー・M・ボストン夫人は1892年の生まれですから、このとき、もう62歳のおばあさんだったはずです。しかし、子どもの喜びと悲しみがこんなによく描けるからには、よほど若々しく元気な心の持ち主にちがいありません。物語の舞台になるグリーン・ノウの屋敷は、ロンドンの北のほうのハンティングドンシャーというところにある、マナーハウスという名の家をモデルとしています。それは1120年に建てられた、イギリスで一番古い住居の一つで、ボストン夫人は、実際にここに長年住み、家を守ってきました。私たちは、作者のボストン夫人に、グリーン・ノウの女主人、オールドノウ夫人のような人を想像してもよいでしょう。


読み終えた『グリーン・ノウの子どもたち』は、やっぱりお子様向け。<ローワン>もお子様向けだが、これはさらに年齢が下がるという感じ。小学生の頃に読んでいたら、きっとこの世界がうらやましくなっただろうなと思う。でも、そうすると「マナー・ハウス」とかのことは知らなかったわけだし・・・。ともあれ、いかにもイギリス的なお話だった。しかし、ここってホーンテッド・マンションか?と思うような話でもある。これにも続編があるが、たぶん読まないだろう。

2005年09月20日(火)
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