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■ ドラゴンランス伝説〈1〉パラダインの聖女/マーガレット ワイス&トレイシー ヒックマン
『ドラゴンランス伝説〈1〉パラダインの聖女』/マーガレット ワイス (著), トレイシー ヒックマン (著), Margaret Weis (原著), Tracy Hickman (原著), 安田 均 (翻訳) 単行本: 372 p ; サイズ(cm): 21 x 15 出版社: アスキー ; ISBN: 4757718020 ; 1 巻 (2004/03) 内容(「BOOK」データベースより) ドラゴンランス戦争終結から2年後、〈竜槍の英雄〉タニスはパラダインの僧侶クリサニアを伴って故郷ソレースに立寄る。リヴァーウィンドにウェイレスへ向かう彼女の護衛をたのむためだった。〈憩いのわが家〉亭で再会を喜び合ったのも束の間、レイストリンに去られたキャラモンのていたらくに驚く二人。翌日、タッスルホッフがクリサニアに依頼されたブープーを連れて到着するが、彼女は一人ウェイレスへ旅立ったあとだった―。一方、パランサスの〈上位魔法の塔〉にいる黒摩術師レイストリンのもとへ異父姉キティアラが訪れる。〈暗黒の女王〉タキシスの第一の将として失地回復をはかるため、彼と手を組もうとするが…。キティアラが恐れをなしたレイストリンの野望とは?"ドラゴンランス戦記"続篇、待望の第1弾。
<主な登場人物>
●レイストリン・マジェーレ <竜槍(ドラゴンランス)戦争>を経て、最強の魔術師となった双子の弟。頭脳明晰。ローブの色を赤(中立)から黒(悪)に変え、さらなる野望を抱いてパランサスの<上位魔法の塔>に住む。
●キャラモン・マジェーレ <竜槍戦争>では心優しき怪力の戦士として活躍。レイストリンの双子の兄で、虚弱体質な弟のことを常に気遣ってきたが、戦争後、力を得た弟は冷酷に去っていった。
●クリサニア・タリニウス 善神パラダインを信奉する僧侶で、復興しつつある教会を導く<パラダインの聖女>のひとり。宗教的リーダーである老エリスタンの後継者と目されている。裕福な名家の出身。
●キティアラ・ウス=マタール キャラモンとレイストリンの異父姉で、<竜槍戦争>では悪のドラゴン卿として活躍した凄腕の女剣士。美しく、官能的な魅力にあふれる。いまだ世界征服の野望を抱く。
●死の騎士<ソス卿> 嫉妬心ゆえに<大変動>で焼死し、死後、のろわれた姿で蘇った死霊。別名<黒薔薇の騎士>。強力な魔術の使い手。触れるだけで人を殺す骸骨戦士軍を率いる。キティアラと手を結ぶ。
●ダラマール・アージェント 法を犯し、エルフ王国(シルヴァネスティ)を追われて黒エルフ(ダークエルフ)となった黒ローブの魔術師。師(シャラーフィ)であるレイストリンの強大な力に魅せられた忠実な弟子だが、実はある秘密の任務を帯びて活動する。
●タッスルホッフ・バーフット 恐怖の感情と無縁な、好奇心の塊であるケンダー族の男。手先が器用で、錠前破りの名人。いたずら好きで、他人の持ち物を勝手に“借りる”こともしばしば。放浪癖もある。
●<ハーフ・エルフ>のタニス <竜槍戦争>で、レイストリンやキャラモン、タッスル、ティカといった<竜槍の英雄>達を率いたリーダー。人間とエルフの混血児で、種族間の和解に奔走する。弓と剣の名手。
●ティカ・ウェイラン・マジェーレ <竜槍戦争>では、陽気にして天真爛漫な、かわいらしい赤毛の少女戦士として活躍。現在はキャラモンと結婚し、ふたりで<憩いのわが家>亭を取り仕切っているのだが・・・。
『ドラゴンランス伝説』は、スカッとする冒険活劇がメインではなく、邪悪な魔術師レイストリンが主役の歴史タイムトラベルものといった感じ。私の好きなハーフエルフのタニスは、脇役になってしまっている。
レイストリンは戦士キャラモンの双子の弟で、もともとはタニスたちと行動をともにしていたのだから、私も嫌いじゃないのだが、個人的には強いヒーローのほうが好みだから、脆弱で邪悪な心を持った主人公(とはいえ、レイストリンは心底邪悪とは思えないのだが・・・)というのは、ちょっととまどう。
この物語の世界では、僧侶と魔術師が力を持っているのだが、そもそもそういった宗教がらみの話は、あまり好きではない(『指輪物語』は宗教的でないので良い)。でも、それを補って余りあるくらいの面白さが『ドラゴンランス』にはあるので、宗教部分は目をつぶろうという感じだったのだが、『伝説』のほうはそれが前面に出ているので、あれ?と思ったが、魔術によるタイムトラベルも加わってきて、やはり単なる宗教ものじゃないよねという感じ。
『伝説』はまだ1巻目だから、この先どうなることやらなのだが、レイストリンはけして悪者ではないと信じている。レイストリンが抱いている大きな野望も、最終的には善なのだと。たしかに冷酷ではあるが、頭脳明晰なレイストリンにとっては、すべて計算づくでのこと。それに、兄キャラモンや、タニスたちには何の恨みもないはずで、自分を犠牲にしても、結局は彼らを守ってくれるはず!
むしろ、この『伝説』から登場する高潔な僧侶である「パラダインの聖女」クリサニアのほうが、実は悪のように思える。世のため、人のためと言いながら、実は自分のことしか考えていないというのは、世の中にはよくあることだから。キャラ的に、このクリサニアには胡散臭いものを感じている。「あなたは邪悪」と言いながら、レイストリンに深く惹かれているし。
そして、レイストリンの兄キャラモンだが、赤毛のティカと結婚したのはいいが、弟が黒ローブをまとって離れていってからというもの、酒に溺れる毎日。立派な体躯の怪力の戦士だったのに、今ではぶくぶくになっていて、鎧も入らないらしい。だが、クリサニアを助けるために、不承不承ながらも旅に出て、徐々に昔のキャラモンらしさを取り戻していく。これには、ケンダー族のタッスルホッフが一役買っている。
さらに、『ドラゴンランス』での仲間のその後だが、タニスはエルフのローラナと結婚して上手くいっているらしいし、ゴールドムーンとリヴァーウインドには子どもが三人(二番目は双子)になったらしい。
2005年04月14日(木)
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