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■ 弁護士リリー・ホワイト/スーザン・アイザックス
弁護士リリー・ホワイト 集英社文庫/スーザン アイザックス (著), Susan Isaacs (原著), 矢倉 尚子 (翻訳) 文庫: 692 p ; サイズ(cm): 15 x 11 出版社: 集英社 ; ISBN: 4087604004 ; (2001/07)
出版社/著者からの内容紹介 ニューヨークの優秀な女性弁護士の人生と、彼女が携わる殺人事件の進展が交互に語られる話題作。語り口の巧みさで『ニューヨーク・タイムズ』のベストテンリストに3か月登場の大ベストセラー。
内容(「BOOK」データベースより) 刑事弁護士リリーの父はユダヤ人で、ニューヨークの毛皮専門店の店主。リリーは小さい頃から、典型的な上流階級の家の長男ジャズに憧れていた。46歳になった今、リリーはある殺人事件の容疑者の弁護を担当している。けれど容疑者の愛人が現れて事件は思わぬ方向へ…。リリーの生い立ちと、殺人事件の進展が交互に語られるうちに、彼女の愛と感動の人生が浮き彫りにされる傑作登場。
面白かった。アイザックスの評判は前々から耳にしており、原書も2冊ほど持っているのだが、今まで読むタイミングがなかった(1冊は行方不明になってるし)。世間の評判はあてにならない場合が多いけれど、これに関しては、噂どおり、評判どおりといった感じ。面白ければいいなといった程度の期待しかしていなかったのだが、いい方に期待を裏切ってくれたので、嬉しい。
一応ミステリの部類に入るのだが、内容は「ニューヨークの優秀な女性弁護士の人生と、彼女が携わる殺人事件の進展が交互に語られる」もので、最後にその2つの話が重なるといった具合。それぞれ単独で読んでも十分に面白いものなのだが、これが2つ合わさっているのだから、1冊で2度おいしい小説だ。
でも、ミステリという感じはあまりしない。もちろんミステリの要素もしっかりあるのだけれど、それよりもリリーの人生のほうが、山あり谷ありで、ドラマがあって面白い。弁護士になってからの現在の話の中に、時折「彼」という存在が登場するのだが、これは一体誰なのか?というのも、もしかしたらミステリかもしれない。
その彼の正体は、最後に過去と現在が交わるところでわかるのだが、やはりこの人だったかとの予想はつくものの、二人の関係がどんなものであるのか、そこに至って初めて明かされ、読者はびっくり仰天する。人生はなかなか思うようにいかないものだが、これは悲しすぎるよねえ・・・という感じ。でも、男と女を超えた関係は、もしかしてとても幸せなのかもしれないなと。
やり手のキャリアウーマンというと、パトリシア・コーンウェルの<検屍官シリーズ>を思い出すが、その主人公ケイ・スカーペッタ同様、キャリア・ウーマンにはつきものの悩みが、リリーにもつきまとう。でも、基本的に主人公の性格はだいぶ違うと思うし、個人的には、このリリー・ホワイトの性格のほうが好きかも。
スーザン・アイザックスは、写真を見ると若いと思ったが、実は今年62歳になるので、なるほど機知に富んだ、円熟味のある文章を書くのも頷ける。文体も好みだし、ユーモアもあるし、かといってドタバタでなく落ち着いた文章なのがいい。もっとも、主人公のリリーの年齢も46歳くらいなので、それでドタバタしていたんじゃしょうがないとは思うが、他の若いミステリ作家にはない、大人の感覚がある。
彼女の邦訳は何冊か出ているものの、ほとんど絶版なのが残念。マーケット・プレイスで買おうかなとも思ったが、しばらくAmazonと取引するのは嫌なので、考え中(マーケット・プレイスなら、直接Amazonから買うわけではないからいいかとも思うが)。ブックオフに出てくれればいいんだけど・・・。あとは、持っている原書を読むしかないが、1冊行方不明なので、暇なときに本の山をかき回して、捜索しなくては。
2005年01月28日(金)
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