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■ 花の魔法、白のドラゴン/ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
出版社/著者からの内容紹介 <ブレスト>は魔法に満ちた世界だ。たくさんある異世界の魔法のバランスを保つ、大事な存在でもある。ところがある日、その世界のイングランドに住む、宮廷付き魔法使いの娘ロディは、国中の魔法を司る「マーリン」が、恐るべき陰謀を企てていることに気づいた。だけど大人たちは、そんな話は信じてくれない。ただひとりの味方、幼なじみの少年グランドも、どんな魔法もひっくり返してかけてしまうから、頼りになるどころか、ロディの方が面倒を見なければならない始末。自力で陰謀に立ち向かう決心をしたロディは、古の魔女から<花の魔法>を受け継ぐのだが……。
一方、<地球>の英国に住む少年ニックは、長年、魔法を習いたいと夢見ていたが、ある日、ロンドンのホテルから異世界に足を踏み入れ、事情がわからぬままロディを助けることになり……?冥界の王、燃えあがるサラマンダー、大地に眠る伝説の<白のドラゴン>……多元世界を舞台に、二つの視点から描かれた、波乱万丈のファンタジー。著者最新作にして渾身の最長編!
これは、魔法使いマーリンが出てくる話だと内容説明にも書いてあったのだが、あら!これもまたとんでもない勘違い。うげげ!そういや、「マーリン」とかぎカッコがついているのだから、よくよく考えれば、個人の名前ではないと気づいてもよさそうだが・・・。
魔法使いマーリンと言えば、 アーサー王の師である偉大なイスタリのマーリン のことで、アーサー王も好きだが、個人的にはマーリンのほうがもっと好き。「指輪」のガンダルフに並んで、私の中では「2大魔法使いスター」なのだが、てっきりそのマーリンかと思って楽しみにしていたら、なんと、全然違ってるじゃない?・・・残念!
この話の中の「マーリン」は魔法使いの役職名で、国に仕える魔法使いなのだが、「マーリン」職についている魔法使いが死ねば、また新しい「マーリン」が選ばれるというわけで、アーサー王のマーリンとは全く違うものだ。
「マーリンが恐るべき陰謀を・・・」などとあるので、たしかにアーサー王のマーリンは悪魔の血を引いているなんて話もあるから、さもありなんと思っていたのだが、あーあ、まただまされてしまった。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズは 『魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉』 くらいしか読んだことがないのだが、雰囲気はこれも同じような感じ。日本語訳の文体のせいか、 『ゴシップ・ガール』 とか 『プリンセス・ダイアリー』 でも読んでいる気分になってくる。非常にガーリッシュだ。しかも「マーリン」が、あのマーリンでないってことは、私好みのカッコいいヒーローものではないってことだ。御年70歳にもなるというジョーンズだが、「女の子」の心はいつまでも失っていないと見える。
で、あのマーリンの話でないのなら、もうやめようかとも思ったのだが、「外国語訛り(実際ドイツ人らしい)のある英語を話す図体の大きいアーノルド」というのが出てきたので、ちょっとシュワちゃんをイメージして(たぶん作者もシュワちゃんをイメージしたのだろうと思う)、主人公の女の子ではなく、このアーノルドを追ってみようかと。<たいした役ではなかったが。
それにしても、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本は、相変わらずやかましい。本の中からドタバタ騒ぎが聞こえてきて、途中で何度も「やかましい!」と声に出して言いそうになってしまったくらい。
ジョーンズの作品て「ハウル」もそうだけど、女の子がキャンキャンしてて、物事全てがドタバタしてる感じ。いろいろと世界が絡み合ったりして、一見複雑なようなんだけど、読み終えてみるとそうでもない。人がいっぱい出てきて大騒ぎしているだけの感じ。奇想天外というより波乱万丈。物語に直接関係のないナンセンスなことも多いし、こういう雰囲気が好きな人には楽しいだろうが、私にはちょっとやかましすぎる。疲れた。
ジョーンズの描く女の子って、天邪鬼な性格というか、それが特色なんだろうが、けして素直でおとなしい女の子など出てこないんだろうと思う。ジョーンズがそういう性格なのか?それにしても彼女もすでに70歳。いつまでも子どもの心を忘れないというのはいいが、もう少し落ち着いた話にならないものかな。(^^;
それと、邦題にはドラゴンが活躍しそうなイメージがあるが、当のドラゴンは、最後のほうにちょっと登場するだけ。これもがっかりだった。原題は 『The Merlin Conspiracy』 で、マーリンの陰謀というものだが、内容はそのとおりなのだから、やはり的確なタイトルだ。邦題の花の魔法はよくわかるが、ドラゴンはタイトルに登場させるほどのインパクトもなかった。
魔法のあれこれは楽しかったし、内容も盛りだくさん、展開もアップテンポで乗れる本だが、読後はどっと疲れた感じ。男の子はいいのだが、女の子が皆やかましいのが難。キャラクターが個人的好みに合わないのは、こればかりはどうにもしょうがない。
2004年11月16日(火)
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