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 The Voyage of the Arctic Tern/Hugh Montgomery

●The Arctic Tern─キョクアジサシ
●Plymouth
・イングランド南西部の港町。海軍基地。1620年、Mayflower号の出港地。
・米国マサチューセッツ州の港町。1620年、Mayflower号の到着地点。


イングランドの港町プリマスを舞台に、時代の違う3つの物語が語られる。しかし、登場人物はいずれも前の時代に登場した人物の生まれ変わりのようで、彼らは皆どういうわけかプリマスにひきつけられ、航海と宝探しの夢を追う。

メインの物語は2番目の話で、イングランド女王の命を受けたハンター卿が、スペインの王を救う話なのだが、そこに集まった仲間たちが、時代を超えて、3番目の話で再び現代に蘇るのだ。

海賊マッド・ドッグ・モーガンは、スペイン王を暗殺し、自分が王座につこうという企みを持っていたのだが、それをハンター卿らに邪魔され、裁判にかけられる。しかし王の情けにより、国外退去処分で済んだ。王からお礼の宝をもらったハンター卿の一行は、Arctic Tern号でイングランドに帰るのだが、途中に待ち受けていたのは、腹の虫が収まらないマッド・ドッグであった。

マッド・ドッグに船を盗まれ、しかも船は難破して、宝もろとも海の底へと消えていってしまった。マッド・ドッグの命もそれまで。

しかし、宝の夢を捨てきれない猟師ブルーノは、ずっと海に潜って宝を探し続けていた。果たして現代まで生きていたのは、そのブルーノであったのだろうか?ハンター卿らの生まれ変わりたちが、現代のプリマスに集まり、海底に沈んだ船を見つけるのだが、いざブルーノが宝の箱に近づいてみると、そこには大ダコの化け物が宝を守っていた。マッド・ドッグには、タコの刺青があったことを思い出し、ブルーノはマッド・ドッグの執念の深さを知る。

大ダコとの戦いのあと、ブルーノは消えた。心配した仲間が潜って目にしたのは、何百年も前に沈んだとは思えないほど美しく見えた船が、見るも無残な姿に変わり果てていた光景だった。

時代を超えて受け継がれてきた夢と執念。輪廻転生を思わせる物語である。仲間たちが集った居酒屋「マクブライド提督」には、今でもブルーノの席があるという。翌日、ブルーノのために用意されたビールも食べ物もなくなっており、ジャーの中には銀貨が入っている・・・。

ちょっと不気味な海洋冒険物語だった。このほか、いきなり霧が立ち込めて、その中から12艘の船が現れたりとか、怖い場面もしばしば。マッド・ドッグが大ダコに生まれ変わっていたというのは笑えたが。

2004年01月31日(土)
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